第10講 内閣と行政|共テ公共・政経ゼロから8割講座

第10講 内閣と行政|共テ公共・政経ゼロから8割講座

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共テ公共・政経ゼロから8割講座 / 第3章・第10講

内閣と行政

今回は、国会が決めた法律や予算を使って行政を進める内閣を学びましょう。誰が首相を選ぶのか、内閣は誰に責任を負うのか、お金の使い方を誰が確認するのか。制度の名前だけでなく、人や機関の動きを順番につなげていきます。

日本とアメリカの制度も比べます。「大統領がいるから同じ制度」と決めず、議会と行政の関係に注目すると、違いが見えてきます。読みたい項目だけ開き、解説に続く問題で理解を確かめましょう。

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項目名を押すと解説が開きます。各項目の確認問題では、選択肢を選んで「答え合わせ」を押すと正誤と考え方を確認できます。「もう一度解く」で再挑戦できます。

回答は保存・送信されません。再読み込みするとリセットされます。記述問題は自動採点ではなく、解答例と比べて確認する形式です。

1.議院内閣制と、首相・国務大臣の選び方

議会の信任が内閣の土台になる

前回は国会が法律や予算を決める手続を学びました。今回は、その法律や予算を使って行政を行う内閣が、どう成立し、誰に責任を負うかを考えます。

この仕組みを[19]議院内閣制といいます。内閣が議会の信任に基づいて成立し、議会に対して責任を負う仕組みです。日本では国民が国会議員を選び、国会が首相を指名します。国会と内閣の間には、成立の段階から結びつきがあります。

三権分立なのに結びついていてよいのか、と思う人もいるかもしれません。権力分立は、互いに関係を断ち切ることではありません。日本では国会と内閣が協力しながら、国会が行政を監視し、信任を問い直せる関係をつくっています。

「信任」は、今の内閣に行政を任せるという政治的な支持です。内閣の政策に賛成する人が多いかという世論調査と、議会で信任があるかという制度上の問題も分けます。今日は、この結びつきを主体と動詞で整理しましょう。

指名と任命は、担当する機関が違う

首相は、国会議員の中から国会の議決で指名されます。指名するのは[20]国会、その指名に基づいて任命するのは[21]天皇です。

指名と任命は、同じ言葉ではありません。誰を首相にするかを国会が決め、その指名に基づく任命を天皇が国事行為として行います。天皇が自分の政治的判断で好きな候補を選ぶ、という制度ではありません。第2章の、天皇は国政に関する権能をもたないという原則につながります。

国民が投票によって首相本人を直接選ぶ仕組みでもありません。また、首相になれるのは衆議院議員だけ、と決めつけないようにしましょう。憲法の要件は国会議員であることです。

確認します。「国会が任命し、天皇が指名する」をどう直しますか。

国会が指名し、天皇が任命する。主体を覚えていても、動詞が逆なら誤りです。言葉を一つずつ対応させると、問題文の入れ替えに気づきやすくなります。

首相と国務大臣の資格を分けよう

国務大臣を任命し、任意に罷免できるのは首相です。国会が一人ずつ大臣を任免するわけではありません。首相が行政のチームを構成する、と考えると分かりやすいでしょう。

ここで大切なのが[22]過半数という条件です。国務大臣の過半数は国会議員の中から選ぶ必要があります。全員ではありませんし、半分ちょうどでもありません。例えば首相を除く国務大臣が16人という架空の構成なら、少なくとも9人が国会議員である必要があります。

もう一つの条件が[23]文民です。首相と国務大臣は、どちらも文民でなければなりません。軍事を政治の統制の下に置く文民統制と関係します。

整理すると、首相は国会議員であり、文民です。国務大臣は文民で、過半数が国会議員です。首相に求められる条件をそのまま大臣全員に広げないようにします。

「民間から大臣に選ばれた」という話があっても、直ちに憲法違反とはいえません。全体として過半数が国会議員であるかという条件を確かめる必要があります。人数の条件と、各人に求められる資格を分けましょう。

責任の負い方にも注目しましょう。内閣は、行政権の行使について国会に対し[24]連帯して責任を負います。大臣がそれぞれ別々に責任を負えば、内閣全体としては責任を負わなくてよい、という意味ではありません。

例えば、学費支援を充実させたいという政策があっても、国会で支持を得られなければ、必要な法律や予算を成立させにくくなります。内閣が行政を担当する一方で、国会の信任と協力が重要になる理由がここにあります。

首相を除く国務大臣16人のうち8人が国会議員なら、ちょうど半分です。「過半数」は半分を超えるので、最低9人が必要です。これは計算のための架空の人数で、実際の内閣の構成を示すものではありません。

また、「文民」は単に国会議員ではない人、という意味ではありません。軍事に対する政治の優位を確保するための資格の条件です。「国会議員かどうか」と「文民かどうか」を別々に確認しましょう。

図解① 国民から内閣へ、成立のつながり
  1. 国民が国会議員を選挙で選ぶ
  2. 国会が国会議員の中から首相を指名する
  3. 天皇が国会の指名に基づいて首相を任命する
  4. 首相が国務大臣を任命し、内閣を構成する
図解② 個人の資格と、人数の条件
首相

国会議員であること。文民であること。

国務大臣

全員が文民。過半数が国会議員。全員が国会議員である必要はない。

この項目の確認問題(4問)

Q01 議院内閣制の基礎

議院内閣制について、正しい説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q01の解答・解説を開く

まず、内閣の成立を支えるのは誰かを考えましょう。議院内閣制では議会の信任が土台であり、その議会に責任を負います。したがって正解は2です。

天皇が政治的に支持する内閣を選ぶ1や、国民が首相を直接選ぶ3ではありません。国会は行政を監視するので4も違います。成立の土台と責任の相手を一組で押さえましょう。

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Q02 大臣16人の過半数

首相を除く国務大臣が16人という架空の構成では、最低何人が国会議員である必要がある?

答えを1つ選んでください

Q02の解答・解説を開く

まず、国務大臣には「過半数が国会議員」という条件があることを確認します。16人の半分は8人ですが、過半数は半分を超える人数です。8人では足りず、最小は9人。正解は3です。

全員を議員にする必要はないので16人という2は最小ではありません。10人も条件を満たしますが、9人で足りるため最小ではありません。条件を満たすことと、最小であることを分けて考えましょう。

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Q03 テキストE2:日本の内閣

日本の内閣について、正しい説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q03の解答・解説を開く

機関の名前だけでなく、その後の動詞を一つずつ見ましょう。首相を国会議員の中から指名するのは国会、その指名に基づいて任命するのは天皇です。順番も主体も合っている1が正解です。

2は「全員」を「過半数」に直します。3は大臣を任免する主体を「国会」から「首相」に直しましょう。4は責任を負う相手を「天皇」から「国会」に直します。似た機関名の入れ替えに気づくには、誰が何をするかを声に出してつなげるとよいですね。

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Q04 文民と国会議員

首相・国務大臣の資格について正しいものは?

答えを1つ選んでください

Q04の解答・解説を開く

最初に、文民という資格と、国会議員であるかという条件を分けましょう。首相と国務大臣はいずれも文民である必要があります。正解は4です。

首相の要件は国会議員であり、衆議院議員だけに限定した1は違います。国務大臣は過半数が国会議員ならよいので、民間出身者がいるだけで違憲とする2も誤りです。文民は非議員という意味ではないため3も外れます。

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2.不信任・総辞職と行政の継続

衆議院が「任せられない」と判断したら

衆議院で内閣不信任決議案が可決された場合、又は信任決議案が否決された場合を考えます。[25]10日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は[26]総辞職しなければなりません。

ここで、参議院を解散すると答えてはいけません。参議院に解散はありません。また、参議院の問責決議と、憲法69条の内閣不信任を同じ法的効果として扱わないようにします。

解散は内閣が決定し、天皇が内閣の助言と承認に基づく国事行為として行います。実際には、不信任の場合以外にも解散が行われています。ここでの流れは、不信任等があった場合に憲法が求める対応を表しています。

政治責任を問う仕組みを、犯罪を犯した人に刑罰を科す仕組みと混同しないことも大切です。支持を失った内閣にどう対応するかが、ここでの問題です。

総辞職しても行政の空白は作らない

内閣が総辞職する場面は、不信任のときだけではありません。首相が欠けたときと、衆議院総選挙の後に初めて国会が召集されたときにも総辞職します。

選挙で与党が多数を維持した場合でも、総選挙後初めての国会召集時には総辞職し、首相の指名を経ます。同じ人が再び首相になる場合でも、手続が不要になるわけではありません。新たに選ばれた国会の信任を基礎にするためです。

では、総辞職した瞬間から、新しい首相が任命されるまで、行政を行う人がいなくなるのでしょうか。

憲法は、後任の首相が任命されるまで、旧内閣が引き続き職務を行うと定めています。政治的な責任を明確にすることと、日々の行政が途切れないようにすることを両立させています。

制度は、点だけでなく前後をつなげて理解しましょう。不信任、解散、総選挙、国会召集、首相指名という出来事の並びを、誰が行うかとともに説明できると、手続図を読む力になります。

図解③ 不信任後の分かれ道
  1. 衆議院で不信任決議案を可決、または信任決議案を否決
  2. 10日以内に衆議院が解散されるかを確認
  3. 解散されなければ、内閣は総辞職する
  4. 解散された場合は総選挙へ。総選挙後初めて国会が召集されたときに総辞職する
  5. 後任の首相が任命されるまでは、旧内閣が引き続き職務を行う

ここで、「解散すれば今の内閣がそのままずっと続く」と考えないようにしましょう。不信任直後の総辞職を避けて選挙に進んでも、総選挙後初めての国会召集時には総辞職が必要です。二つの時点を分けて見ると、手続がつながります。

参議院の問責決議には政治的な重みがありますが、それだけで憲法69条の「10日以内の解散か総辞職」という義務が生じるわけではありません。「政治的な影響があること」と「同じ法的効果があること」は区別します。

この項目の確認問題(4問)

Q05 不信任後の期限

衆議院が内閣不信任決議案を可決した場合、正しい説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q05の解答・解説を開く

まず、不信任を可決したのは衆議院だと確認します。その後は、10日以内に衆議院が解散されるかが分かれ道です。解散されなければ総辞職しなければなりません。正解は2です。

参議院に解散はないので1は外れます。参議院の同意を待つ3の手続もありません。4のように必ず即日総辞職するのではなく、衆議院解散に進む可能性がある点を押さえましょう。

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Q06 問責決議との違い

参議院の問責決議について、適切な説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q06の解答・解説を開く

ここは、政治的な影響と法的な効果を分けて考えます。問責決議が政治上の圧力になることはありますが、それだけで憲法69条の解散か総辞職という義務が生じるわけではありません。正解は3です。

1は解散のない参議院を解散させており、2も即時失職という効果を付け加えています。一方、法的効果が同じでないから政治的な意味もない、とする4も言いすぎですね。

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Q07 選挙後の総辞職

衆議院総選挙で与党が多数を維持した場合、正しい説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q07の解答・解説を開く

最初に、総辞職の条件が選挙の勝敗なのか、国会の召集という出来事なのかを確認します。憲法上の条件は、衆議院総選挙後初めて国会が召集されたときです。与党が勝っても手続は必要なので、正解は1です。

同じ人が再び首相になる場合もあるため、2のように結果から手続を省くことはできません。参議院選挙を待つ3でも、投票終了と同時に行政を止める4でもありません。

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Q08 総辞職後の職務

総辞職した内閣は、その後どうなる?

答えを1つ選んでください

Q08の解答・解説を開く

総辞職してから新しい首相が任命されるまでに、行政が止まると困りますよね。そこで旧内閣が職務を続け、行政の空白を防ぎます。終点は「後任の首相の任命」なので、正解は4です。

裁判所や天皇が行政を引き継ぐ1と2ではありません。3は終点を総選挙に置き換えています。責任を明確にする総辞職と、行政を継続する職務の続行は両立する、と考えましょう。

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自分の言葉で説明しよう
考え方と解答例を開く

まず、総辞職は政治的な責任を明確にする手続だと押さえましょう。ただし、その瞬間から行政まで止まると、日々の仕事を担う内閣がなくなってしまいます。そこで旧内閣が後任の首相の任命まで職務を続けるんですね。

説明するなら、「総辞職によって責任を明確にする一方、後任の首相が任命されるまで旧内閣が職務を続け、行政の空白を防ぐため」とまとめられます。責任の区切りと職務の継続を、矛盾するものとして扱わないことがポイントです。

3.閣議・政令と、予算・決算の流れ

内閣の意思決定と、法律を実施するルール

内閣の意思は、[27]閣議で決めます。内閣の意思を決める会議で、全員一致を慣例としています。内閣全体の意思として決める仕組みが、国会に対する連帯責任ともつながります。

内閣は法律を執行するほか、外交関係を処理し、条約を締結し、予算を作成します。また、憲法や法律を実施するために[28]政令を定めます。

政令があるから、内閣は国会の法律を無視して好きな規則をつくれる、ということではありません。法律の下に位置する命令なので、法律に反する内容を定めることはできません。憲法、法律、政令という関係を思い出しましょう。

行政の仕事が複雑になると、国会の法律だけで細部まで定めることが難しい場面があります。そこで、法律の委任に基づき具体的な内容を命令で定める委任立法が行われます。委任されている範囲を超えてよいわけではありません。

行政裁量も同じです。法律に従って行政が判断できる幅を認めることと、無制限に自由な行為を認めることを区別します。

予算は計画、決算は使った結果

ここからは、仕事を担当する機関を順番に整理しましょう。法律案は、内閣も提出できます。法律として定めるのは国会。予算は、内閣が作成し、国会が議決します。前回学んだ衆議院の優越は、その国会での議決に関わるルールです。

条約は内閣が締結しますが、原則として事前に、時宜によっては事後に国会の承認を得る必要があります。「外交は内閣の仕事だから、国会は一切関係しない」とするのは誤りです。仕事を担当することと、ほかの機関の統制を受けないことは違います。

予算を使った結果が決算です。会計検査院が検査し、内閣が検査報告とともに国会へ提出します。国会は決算を審査します。予算と決算は、これから使う計画と、実際に使った結果という時間の違いがあります。

ここまでをつなげると、内閣が予算を作成し、国会が議決する。そして、執行後の決算を会計検査院が検査する、という流れになります。担当を入れ替えた文を見たときは、機関名が見慣れているかではなく、その動詞を担当する機関なのかを確認してください。

例えば、新しい支援制度を作るとき、国会が法律で制度の基本を決め、法律が委ねた細かな事項を政令などで具体化することがあります。ただし、内閣が「この法律は都合が悪いから、反対の政令を作ろう」とすることはできません。行政を動かすための具体化と、法律を覆すことは違うんですね。

閣議の全員一致は、国会の通常の議決が過半数で決まることと混同しないようにしましょう。内閣として一つの意思を決め、国会に対して連帯責任を負う。その関係で捉えると覚えやすくなります。

図解④ 国のお金を、計画から結果まで追う
  1. 内閣が予算を作成し、国会に提出する
  2. 国会が予算を審議・議決する
  3. 行政機関が予算に基づいて執行する
  4. 使った結果である決算を、会計検査院が検査する
  5. 内閣が検査報告とともに決算を国会へ提出し、国会が審査する
この項目の確認問題(3問)

Q09 閣議と政令

正しい説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q09の解答・解説を開く

二つの点を順に確認します。内閣の意思を決める閣議は、全員一致を慣例としています。国会の通常の議決と混ぜた1は違います。

次に政令は、憲法や法律を実施するためのルールです。法律より下に位置するため、法律を覆す内容にはできません。この関係に合う3が正解です。内閣は法律を執行するので4も外れます。

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Q10 予算と条約の主体

正しい組合せはどれ?

答えを1つ選んでください

Q10の解答・解説を開く

まず、予算をこれからの支出の計画と考えます。その計画を作成・提出するのは内閣、審議して議決するのは国会です。したがって2が正解になります。

1と3は機関と仕事を逆にしています。また、条約を締結するのは内閣ですが、国会の承認が必要です。担当することと他の機関の統制を受けないことは違うので、4も選べません。

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Q11 決算の流れ

国の決算について正しい説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q11の解答・解説を開く

まず、決算は使う前の計画ではなく、使った後の結果だと確認します。その会計を検査するのが会計検査院です。さらに、内閣が検査報告とともに国会へ提出し、国会が審査します。流れが合っている1が正解です。

人事院は決算検査の機関ではなく、会計検査院は予算を執行する機関でもないので2と3は外れます。行政が使った結果だからこそチェックが必要で、4のように国会の審査を省くことはできません。

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自分の言葉で説明しよう
考え方と解答例を開く

最初に、時間の違いから整理しましょう。予算はこれから使う計画、決算は使った後の結果です。次に、それぞれを担当する機関を順番につなげます。

「予算は内閣が作成・提出し、国会が議決する。執行後の決算は会計検査院が検査し、内閣が検査報告とともに国会へ提出して、国会が審査する」と説明できます。計画と結果の違いに加え、作成・議決・検査・審査という動詞を区別できれば、役割を整理できています。

4.行政を監視し、透明にする仕組み

専門家に任せることと、任せきりにすること

行政を統制する仕組みは一つではありません。国会は国政調査権などを用いて行政を監視します。裁判所は、行政処分の取消しを求める事件などを審理します。国民が行政の情報を知るためには情報公開制度が関わります。

行政手続法は、処分や行政指導などのルールを定め、公正と透明性を確保するための法律です。例えば、許認可の判断について、どのような基準で判断するかが不明確であれば、国民は見通しを立てにくくなります。手続を明らかにすることは、恣意的な行政を防ぐことにつながります。

統制の仕組みを比較するときは、誰が、何を対象に、どのような手段を使うかを確かめます。情報を公開させること、裁判で処分の取消しを求めること、議会で説明を求めることは、同じ働きではありません。

行政の専門性は社会に必要ですが、専門家に任せれば民主的な統制は不要だ、とはなりません。必要な能力を使いながら、その判断を説明し、チェックできる仕組みを整えるという関係で理解しましょう。

例えば、営業の許可を申請したのに、理由もわからないまま断られたら、何を直せばよいのか判断できませんよね。申請に対する審査基準を定めて公にしておくことや、拒否するときに理由を示すことは、判断を予測・検証するために大切です。

行政指導は、行政が相手に協力を求める働きかけです。相手の任意の協力によって実現されるもので、従わなかったことだけを理由に不利益な扱いをしてよいわけではありません。命令のように見える言い方でも、その法的な性質を確かめましょう。

情報公開も、どんな情報でも無条件に公開する制度ではありません。個人情報など、法令上の不開示情報があります。「公開を原則として説明を求める仕組み」と「すべてを例外なく公開すること」を分けて理解します。

図解⑤ 行政へのチェックは、役割が違う
国会

国政調査などで、政策や行政の実態を調べる。

裁判所

具体的な行政事件を審理し、違法な処分の取消しなどを判断する。

情報公開

行政文書の開示を求め、判断の材料を得る。

行政手続

判断に至る手続の公正さと透明性を確保する。

この項目の確認問題(2問)

Q12 委任立法と行政裁量

適切な説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q12の解答・解説を開く

まず、専門的・具体的な判断が必要だから行政に一定の役割を任せる、という出発点を確認しましょう。ただし、任せる根拠は法律であり、法律の枠を超えてよいわけではありません。正解は4です。

1と2は任せる範囲を無制限に広げています。3も裁量があることを理由に司法のチェックをすべて排除しており誤りです。判断の余地があることと、違法でも許されることは別ですね。

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Q13 行政の統制

行政手続と情報公開について適切なものは?

答えを1つ選んでください

Q13の解答・解説を開く

行政の判断が見えなければ、国民は問題があっても確かめにくくなります。そこで、手続を公正・透明にし、情報を得て判断を検証できるようにすることが大切です。正解は2です。

行政指導は任意の協力が基本なので1は誤りです。情報公開にも不開示情報があり、3のように何でも公開するわけではありません。専門性と民主的な監視は両立させる必要があるので4も外れます。

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5.人事院と会計検査院の違い

人事の公正と、会計の検査

次に、[29]人事院と[30]会計検査院を比べましょう。名前が似ていますが、担当する仕事と位置付けが違います。

人事院は、国家公務員の人事行政の公正を確保し、給与などについて国会及び内閣に勧告する中立的な第三者機関です。内閣の所轄の下に置かれます。国家公務員の労働基本権に制約があることと、給与等の勧告という役割を結びつけましょう。

ただし、勧告を出すことと、法律を改正することは別です。人事院が勧告した瞬間に、給与法の内容が自動で変わるわけではありません。

会計検査院は、内閣に対して独立した地位をもつ機関で、国の決算などを検査します。国会にも裁判所にも属しません。内閣が使ったお金を、内閣から独立した立場で確かめることに意味があります。

人事院は人事と給与、会計検査院は決算などの会計。この主な対象を押さえた上で、「内閣の所轄の下」と「内閣に対し独立」という位置付けの違いも確認してください。

図解⑥ 名前ではなく、対象と位置付けで区別
人事院

国家公務員の人事・給与など。内閣の所轄の下で、中立的な役割を担う。

会計検査院

国の決算など。内閣に対して独立した地位で検査する。

「院」が付くから国会の一部なのかな、と名前から推測すると間違えます。どちらも、名前ではなく仕事と位置付けを組み合わせて覚えましょう。

人事院の給与勧告は、公務員の労働基本権の制約を補う役割と結びつきます。ただし、勧告は法律そのものではありません。給与法を変更するには、必要な立法手続を経ます。

会計検査院については、お金を使った側から独立して検査することが大切です。予算をこれからどう使うかという計画を作る内閣と、実際の会計を検査する会計検査院を取り違えないでください。

この項目の確認問題(2問)

Q14 人事院の勧告

人事院について正しいものはどれ?

答えを1つ選んでください

Q14の解答・解説を開く

まず、人事院の主な対象は国家公務員の人事や給与だと確認します。国の決算を検査する2は会計検査院との取り違えです。

人事院は内閣の所轄の下に置かれ、給与等について勧告します。ただし、勧告と法律改正は別の段階です。この区別を述べた3が正解です。国会の一部として単独で法律を変える1や、すべての民間賃金を決める4ではありません。

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Q15 会計検査院の独立

会計検査院の位置付けとして正しいものは?

答えを1つ選んでください

Q15の解答・解説を開く

お金を使った側の都合だけで検査結果を変えられたら、チェックになりませんよね。会計検査院は内閣に対して独立した地位で検査します。そのため2は誤りです。

ただし、内閣から独立していることを、裁判所や国会の一部だと読み替えてはいけません。3と4も外れ、正解は1です。「何を調べるか」と「どこから独立しているか」を一組にしましょう。

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6.議院内閣制とアメリカ型大統領制

成立の土台から、権力の関係を比べよう

次は[31]大統領制です。ここではアメリカ型を、日本やイギリスの議院内閣制と比べます。

アメリカでは、議会と大統領が別々の選挙を基礎に選ばれます。大統領は議会を解散できませんし、議会も単なる政治的不信任によって大統領を辞職させる制度ではありません。弾劾という別の手続はありますが、日本の内閣不信任と同じにしないでください。

大統領や閣僚は連邦議会議員を兼ねず、大統領自身に議会への法律案提出権もありません。ただし、政策を議員に働きかけることや、成立過程で拒否権を用いることはできます。議会にも拒否権を覆す再可決の仕組みがあり、分立しながら相互に抑制しています。

大統領の選び方も確認します。アメリカでは大統領選挙人を介します。国民全体の直接投票数が最も多かった人が、そのまま大統領になる仕組みと同一ではありません。

「アメリカ大統領が議会を解散する」「日本の首相が国民の直接選挙で選ばれる」。この二つの文には、他国の制度や印象を混ぜた取り違えがあります。比較する軸をそろえて整理しましょう。

図解⑦ 議会と行政の成立の違い
議院内閣制

議会の信任を土台に内閣が成立し、議会に対して責任を負う。日本では国会が首相を指名する。

アメリカ型大統領制

議会と大統領が別々の選挙を基礎に成立する。大統領による議会解散や、議会の政治的不信任による辞職の仕組みはない。

例えば、大統領の政策に議会の多数が反対していても、大統領が議会を解散して選び直させることはできません。逆に、議会が「この政策は支持しない」と判断しただけで、大統領を不信任により辞職させることもできません。

それでも、互いに無関係というわけではありません。大統領は法律案に拒否権を使うことができ、議会は定足数を満たしたうえで、両院それぞれの投票者の3分の2以上の賛成で拒否権を覆すことができます。成立の土台を分けながら、行き過ぎを抑える仕組みを置いているんです。

弾劾は、単なる政策への不満で辞職させる不信任とは異なる手続です。また、大統領に法案提出権がないことは、政策を提案したり議員に働きかけたりできないという意味ではありません。法的な権限と政治的な働きかけを区別しましょう。

この項目の確認問題(3問)

Q16 大統領制の成立の土台

アメリカ型大統領制の説明として正しいものは?

答えを1つ選んでください

Q16の解答・解説を開く

まず、日本の首相の選び方をそのまま移さないようにしましょう。アメリカでは議会と大統領が別々の選挙を基礎に成立するので、正解は4です。

大統領に議会解散権はなく、議会も政治的不信任だけで大統領を辞職させる仕組みではありません。したがって2と3は外れます。1は日本の指名・任命の仕組みを混ぜた説明です。

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Q17 法案提出と拒否権

アメリカ大統領について正しいものは?

答えを1つ選んでください

Q17の解答・解説を開く

まず、正式に法案を提出する権限と、政策の実現に働きかけることを分けます。大統領自身に法案提出権はありませんが、議員への働きかけや拒否権という関与はできます。正解は2です。

関与をすべて否定する1は言いすぎですね。大統領は連邦議会議員を兼ねないので3も違います。議会には定足数を満たしたうえで、両院それぞれの投票者の3分の2以上の賛成で拒否権を覆す仕組みがあるため、4も誤りです。

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Q18 選挙人と弾劾

正しい説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q18の解答・解説を開く

最初に、選挙人を介する仕組みを確認しましょう。全国の一般投票の得票総数だけで、そのまま当選者が決まる制度ではないため1は外れます。

次に、弾劾は単に政策を支持しないという不信任とは異なる手続です。両者を同一とする2も誤りです。議員兼職を認める4も違い、この二つの注意点を正しく示した3が正解になります。

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7.連邦制と、政治体制を比較する二つの軸

議会と行政の関係か、中央と地域の関係か

もう一つ、別の角度から見る制度が[32]連邦制です。連邦と州などの構成単位が、憲法上の権限を分け合う仕組みです。アメリカやドイツが基本例です。

ここは、大統領制とは別の分類軸です。大統領制や議院内閣制は、議会と行政の関係に注目しています。連邦制は、中央と構成単位の権限の配分に注目しています。そのため、ドイツは連邦制であると同時に、議院内閣制を採ります。

国に大統領という名称の役職があるから、必ずアメリカ型の大統領制だと決めてはいけません。フランスは大統領と首相を置く半大統領制です。中国では中国共産党の指導の下、全国人民代表大会を最高国家権力機関と位置付けており、日本やアメリカと同じ三権分立としては整理しません。

いまは細かな国名を増やすより、「何を比較しているのか」を確かめましょう。議会と行政の関係なのか、中央と地域の関係なのか。異なる分類を一列の選択肢のように考えないことが重要です。

自分で説明するなら、アメリカは大統領制で連邦制、ドイツは議院内閣制で連邦制。二つの軸を使って言ってみてください。

図解⑧ 同じ国を、二つの軸で見る
アメリカ

議会と行政:大統領制。中央と地域:連邦制。

ドイツ

議会と行政:議院内閣制。中央と地域:連邦制。

例えば、「ドイツは連邦制だから議院内閣制ではない」という文は、違う分類を二者択一にしている点が誤りです。「鉄道で通学しているから高校生ではない」と言うように、そもそも答えている問いが違うんですね。

連邦制では、州などの構成単位の権限が憲法上保障されます。地方の行政区画があるというだけで、直ちに連邦制になるわけではありません。中央と地域がどのように権限を分けているかを確認します。

国名や役職名から一気に答えを決めず、まず問題が尋ねている軸を確かめる。この習慣が、国ごとの制度を比較する問題で役に立ちます。

この項目の確認問題(3問)

Q19 連邦制は何を分類する?

連邦制について正しい説明はどれ?

答えを1つ選んでください

Q19の解答・解説を開く

何を分けている制度かに注目しましょう。連邦制が扱うのは中央と州などの権限配分です。議会と行政の関係ではないので、大統領の有無だけで判断する2や、議院内閣制との両立を否定する3は違います。

また、地方の区画があるだけでは連邦制とはいえません。構成単位の権限が憲法上保障されることを述べた1が正解です。区画の存在と権限の保障を区別しましょう。

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Q20 ドイツの二つの軸

ドイツの政治制度について正しい組合せは?

答えを1つ選んでください

Q20の解答・解説を開く

まず、議会と行政の関係を見れば、ドイツは議院内閣制です。次に中央と地域の関係を見れば、連邦制です。二つの問いに別々に答えているので、両立します。正解は2です。

3は異なる分類を二者択一にしています。また、大統領という役職名だけからアメリカ型と決める1や4も誤りです。肩書ではなく制度の関係を確認しましょう。

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Q21 国名・役職名だけで決めない

各国の制度について適切なものは?

答えを1つ選んでください

Q21の解答・解説を開く

まず、フランスには大統領と首相の両方がいるので1は誤りです。大統領という名称だけでアメリカ型と決める3も選べません。制度の関係まで見ようという4が正解です。

中国は中国共産党の指導の下、全国人民代表大会を最高国家権力機関と位置付けています。日本と同じ三権分立だとする2も違います。役職名や機関名が似ていても、関係まで同じとは限らないんですね。

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自分の言葉で説明しよう
考え方と解答例を開く

まず、それぞれの制度が何を比べているかを言葉にしましょう。議院内閣制は議会と行政の関係、連邦制は中央と州などの権限配分に注目します。答えている問いが違うんですね。

解答例は、「議院内閣制は議会の信任と内閣の責任の関係を示し、連邦制は連邦と州などが憲法上の権限を分け合う関係を示す。分類の軸が異なるため、両立する」です。国名を覚えるだけでなく、二つの軸を説明できるようにしましょう。

今回のまとめ

国会が首相を指名し、天皇が任命する。首相が国務大臣を任免し、内閣は国会に連帯責任を負う。こうして主語と動詞をつなぐと、内閣の成立と責任が見えてきましたね。

行政の仕事では、計画を作る、決める、実行する、結果を調べるという段階を分けました。専門的な仕事を任せるからこそ、法の枠とチェックの仕組みが大切になります。海外の制度も、議会と行政の関係、中央と地域の関係という二つの軸で整理していきましょう。

制度の根拠を確認する

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