共テ公共・政経ゼロから8割講座 / 第2章・第6講
日本国憲法の成立と基本原理
憲法は誰を守るためのルールでしょうか。成立の流れから人権の中身まで、身近な例と一緒に学びます。
学習のゴール:公布と施行、指名と任命、発議と承認、権利と義務の違いを、自分の言葉で説明できるようになること。
解説は項目ごとに開けます。動画の復習にも、授業の説明台本にも活用してください。
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赤字の語句と[番号]は、授業テキストの穴埋め[16]〜[38]に対応しています。[33]は「プライバシー」、[36]は「情報公開」と記入します。後ろの「の権利」「制度」は印刷済みです。
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1.成立と三つの基本原理
憲法は、何のためにあるのか
政府が『政府への批判は一切禁止』と言い始めたら、どうでしょう。選挙で選ばれた政府であっても、人々の自由を無制限に奪ってよいわけではありません。
憲法には、国家権力を制限して人権を守る役割があります。第5講で学んだ立憲主義です。今回は、この考え方が日本国憲法のどんな仕組みに表れているかを見ていきましょう。
成立の流れ:草案から、議会の審議へ
戦前の日本には大日本帝国憲法、いわゆる明治憲法がありました。第二次世界大戦後、政治の仕組みや人権保障が大きく見直されます。
日本政府の検討案に対し、GHQは改革が不十分だと考え、独自の草案を示しました。日本政府はその草案をもとに改正案を作り、帝国議会で審議・修正が行われました。
つまり、GHQ草案がそのまま施行されたわけではありません。大日本帝国憲法の改正手続を使って、日本国憲法が成立したという流れです。
- GHQが草案を提示する。
- 日本政府が改正案を作成する。
- 帝国議会で審議・修正する。
- 公布を経て、施行する。
当時の帝国議会は、衆議院と貴族院で構成されていました。現在の衆議院・参議院と取り違えないようにしましょう。
公布と施行は、別の日
- 公布:1946年11月3日。成立した憲法を正式に広く知らせること。
- 施行:1947年5月3日。憲法の効力が実際に生じること。
学校が『来月から新しいルールを使います』と発表したとき、発表した日と使い始める日は違いますよね。公布と施行も、知らせる段階と効力が生じる段階を区別します。
『1946年11月3日に施行』は誤りです。年号だけでなく、その日に何が起きたのかまで結びつけて覚えましょう。
三大原理は、意味と一緒に覚える
- [16]国民主権:政治のあり方を最終的に決める権限は国民にある。
- [17]基本的人権の尊重:一人ひとりを人として尊重し、自由や権利を保障する。
- [18]平和主義:戦争の経験を踏まえ、平和を重視する。
国民主権は、政治家が国を所有しているわけではない、という考え方です。国民は代表者を選ぶなどして政治に参加します。ただし、多数派なら何でも決めてよいという意味ではありません。
基本的人権は、政府を支持する人にも、反対する人にも保障されます。平和主義と憲法9条、安全保障の詳しい内容は第5章で扱います。ここでは三大原理の一つとして確認しましょう。
天皇は『象徴』:指名と任命を区別する
天皇は、日本国と日本国民統合の[19]象徴です。その地位は、主権のある日本国民の総意に基づきます。天皇に、政治方針を自ら決める権限があるわけではありません。
憲法は、天皇が国政に関する権能を持たないと定めています。天皇の国事行為には内閣の助言と承認が必要で、その責任は内閣が負います。
- 内閣総理大臣:国会が指名し、天皇が任命する。
- 最高裁判所長官:内閣が指名し、天皇が任命する。
『任命する人』と『誰を任命するか選ぶ人』を分けてください。天皇が自分で首相や最高裁判所長官を選ぶ、という説明は誤りです。
明治憲法との違いを整理する
| 観点 | 大日本帝国憲法 | 日本国憲法 |
|---|---|---|
| 主権 | 天皇主権 | 国民主権 |
| 人権保障 | 法律の範囲内で臣民の権利を保障する。 | 基本的人権を侵すことのできない永久の権利として保障する。 |
| 統治と憲法 | 天皇に強い統治権を認める。 | 憲法の最高法規性と、権力への拘束を明確にする。 |
明治憲法のもとで、権利が一切なかったわけではありません。問題は、法律の範囲内という制約が付いていたことです。これを法律の留保といいます。
日本国憲法では、法律も憲法に従う必要があります。憲法の保障を、通常の法律によって自由に取り消すことはできません。
一言で整理:政治の主体は国民。天皇は象徴。憲法は国家権力を制限して、一人ひとりの権利を守ります。
2.憲法改正は二つの段階
なぜ、普通の法律より改正が難しいのか
憲法は国会や内閣の権力を制限するルールです。もし、国会の多数派が簡単に変更できたら、自分たちに不都合な制限を取り払えるかもしれません。
そこで日本国憲法は、通常の法律よりも厳しい改正手続を定めています。このような憲法を[20]硬性憲法といいます。『絶対に改正できない憲法』という意味ではありません。
反対に、通常の法律と同じような手続で改正できる憲法を軟性憲法といいます。硬性・軟性は、内容の厳しさではなく、改正手続の違いに注目する分類です。
第1段階:国会の発議
憲法96条では、各議院の総議員の[21]3分の2以上の賛成によって、国会が改正を発議します。発議とは、国民に改正案を提案する段階です。
- 各議院:衆議院と参議院のそれぞれで必要。
- 総議員:その日に出席した人だけを基準にしない。
- 3分の2以上:ちょうど3分の2でも要件を満たす。
ある議院の総議員が300人なら、300×2÷3=200人。最低200人の賛成が必要です。欠席者がいたとしても、『出席議員の3分の2』に読み替えてはいけません。
一方の議院だけで要件を満たしても不十分です。両議院で、それぞれ総議員の3分の2以上の賛成が必要になります。
第2段階:国民投票での承認
国会が発議しても、それだけで改正は成立しません。国民投票による承認が必要です。国民投票法では、賛成票と反対票の合計の[22]過半数の賛成を求めています。
過半数は『半分を超える』という意味です。半分ちょうどでは足りません。基準となるのは有効な賛成票と反対票の合計で、棄権や無効票は含めません。
- 賛成600万票・反対400万票:賛成が合計1,000万票の半分を超えるので承認。
- 賛成500万票・反対500万票:半分ちょうどなので承認されない。
『有権者全員の過半数』『国会議員の過半数』とは違います。数字が同じように見えても、何を分母にしているかを確認してください。
承認を経た改正は、天皇が国民の名で公布します。天皇が改正内容に賛成か反対かを判断する段階ではありません。
一言で整理:両議院それぞれの総議員の3分の2以上 → 国民投票で賛否合計の過半数 → 天皇が国民の名で公布。『以上』と『過半数』の違いにも注意しましょう。
3.権利の分類:国に何を求めるのか
自由権:不当に干渉されない
[23]自由権は、国家の不当な介入を排除する権利です。政府から『この考え方を信じなさい』『この仕事に就きなさい』と命令されたら、自分らしく生きることが難しくなりますよね。
自由権は、主に次の3つに分けます。用語だけでなく、何を守っているかを具体例で確認しましょう。
- 精神の自由:思想・良心、信教、表現、学問の自由。考えや信仰、その表現を守る。
- 人身の自由:適正な手続、令状、黙秘などの保障。不当な身体拘束や強制を防ぐ。
- 経済活動の自由:居住・移転、職業選択、財産権など。生活や経済活動の選択を守る。
例えば、意見を発表することは精神の自由、逮捕の際の適正な手続は人身の自由、職業を選ぶことは経済活動の自由に関わります。
自由権があるからといって、他者の権利や安全を無視してよいわけではありません。具体的な規制の必要性や限度が問題になります。
社会権:自由を使える生活条件を支える
[24]社会権は、人間らしく生きるために、国家の積極的な施策を求める権利です。国から干渉されないことに加え、生活や教育などの条件を整えることに着目します。
病気で働けなくなり、食事や住まいに困っている人を考えてみてください。国が『あなたの自由は邪魔しません』と言うだけでは、生活を立て直せない場合があります。
そこで、生活保障や教育、労働などを支える仕組みが必要になります。自由権をなくすのではなく、自由権に社会権が加わって人権保障が広がるのです。
参政権:政治に参加する
[25]参政権は、政治に参加するための権利です。選挙権や被選挙権などが代表例です。税金の使い方や教育政策を決める政治に、国民の意思を反映させます。
選挙権は投票する権利、被選挙権は選挙に立候補して選ばれるための資格です。『国に関わる行動だから請求権』と判断せず、政治への参加かどうかを見てください。
請求権:権利を実現・救済する
[26]請求権は、権利を実現したり、救済を受けたりするために、国に一定の行為を求める権利です。裁判を受ける権利、国家賠償請求権、刑事補償請求権などを学びます。
権利が保障されていても、侵害されたときに何もできなければ困ります。裁判や賠償・補償などの仕組みは、権利を実際に守るために重要です。請願権も、国などに希望や意見を伝える権利として、この分類と併せて整理します。
| 分類 | 国との関係 | 具体例 |
|---|---|---|
| 自由権 | 不当に干渉されない。 | 信仰を選ぶ、意見を表明する、職業を選ぶ。 |
| 社会権 | 生活の条件を支える施策を求める。 | 生存、教育、勤労、労働基本権。 |
| 参政権 | 政治に参加する。 | 選挙で投票する、立候補する。 |
| 請求権など | 権利の実現・救済などを求める。 | 裁判、国家賠償、刑事補償、請願。 |
一言で整理:干渉されない/生活条件を支えてもらう/政治に参加する/救済などを求める。この4つの視点で具体例を読みましょう。
4.生活の条件を支える権利と救済の制度
生存権:ただ命があればよいのではない
憲法25条の[27]生存権は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利です。食べ物や住まいに困り、病気でも必要な医療を受けられない状態を、そのまま放置してよいとはいえません。
生存権を具体化する制度の一つが生活保護です。憲法上の原則を、生活保護法などの法律や制度によって具体的な支援につなげます。
ただし、希望する金額が誰にでも無条件に支給される、という意味ではありません。具体的な要件や保障の内容は、法律や制度の中で定められます。
教育を受ける権利:誰の権利、誰の義務か
憲法26条は、能力に応じてひとしく[28]教育を受ける権利を保障します。学びたい気持ちがあっても、学ぶ機会がなければ能力を伸ばすことは難しくなります。
ここでは、権利を持つ側と義務を負う側を区別しましょう。
- 子ども:教育を受ける権利がある。
- 保護者:子に普通教育を受けさせる義務がある。
『子どもが教育を受ける義務』と覚えるのは誤りです。また、義務教育の無償は授業料を徴収しないという意味であり、学校に関わるすべての費用が無料になるという意味ではありません。
労働基本権:一人では難しい交渉を支える
賃金や労働時間について、一人の労働者が使用者と対等に交渉するのは難しい場合があります。そこで、労働者が団結して交渉し、行動する権利が重要になります。
憲法28条の[29]労働基本権は、労働三権とも呼ばれます。
- 団結権:労働組合を作ったり、加入したりする権利。
- 団体交渉権:使用者と労働条件などについて集団で交渉する権利。
- 団体行動権:要求を実現するため、ストライキなどの団体行動を行う権利。
憲法27条には[30]勤労の権利が定められています。勤労の権利も労働基本権も、社会権に分類されます。具体的な制度や制約は、第10章で詳しく扱います。
『職業選択の自由』は経済活動の自由であり、『勤労の権利』は社会権です。同じく働くことに関係していても、不当な干渉を排除するのか、働く条件を社会的に支えるのかが違います。
国家賠償と刑事補償:救済の理由を比べる
ここからは社会権とは別に、請求権の中で混同しやすい2つを確認します。どちらも国に金銭を求める場合がありますが、その根拠が異なります。
- 国家賠償請求権(17条):公務員の職務上の不法行為によって損害を受けた場合、法律の定める要件のもとで国や公共団体に賠償を求める。
- 刑事補償請求権(40条):刑事手続で抑留・拘禁された後、無罪判決を受けた場合、法律の定める要件のもとで国に補償を求める。
重要なのは、刑事補償が公務員の違法行為を必須条件としないことです。身体を拘束された人が無罪となったときの補償を、違法行為による損害の賠償と同じにしないでください。
一言で整理:生存・教育・勤労・労働基本権は社会権。国家賠償と刑事補償は、権利の救済に関わる別の制度です。
5.社会の変化と新しい人権
幸福追求権:一人ひとりの生き方を尊重する
憲法13条は個人の尊重と、生命・自由・幸福追求に対する権利を定めています。テキストの[31]は、学習用語として[31]幸福追求権と記入します。
これは、国が一人ひとりの願いを何でも実現するという意味ではありません。自分らしく生きるために重要な利益を、憲法上どのように守るかを考える根拠になります。
公共の福祉:『社会のため』なら何でもよい?
自由があっても、他人の権利と衝突する場合があります。SNSで自分の意見を述べる自由があっても、他人の住所や病歴を勝手に広めてよいとはいえません。
こうした人権相互の衝突を調整する原理が[32]公共の福祉です。誰かの権利だけを無条件に優先するのでなく、他者の権利も守れるように考えます。
ただし、政府が『社会のため』と言えば、どんな制限も認められるわけではありません。制限の目的、必要性、程度などを検討する必要があります。
多数決で決めたというだけで政府批判を全面的に禁止するのは、立憲主義や表現の自由の保障に反する問題を生みます。公共の福祉は、無制限の権利制限を認める言葉ではありません。
なぜ、新しい人権が論じられるようになったのか
日本国憲法が施行された1947年には、今のようなスマートフォンやSNSはありませんでした。現在は、大量の個人情報が集められ、一度広まると回収が難しくなることもあります。
工業化は生活環境や健康を脅かす公害問題を生み、医療の進歩は治療方針を誰が決めるかという問題を広げました。社会の変化に応じて、保障すべき利益をより具体的に考える必要が生まれたのです。
プライバシーと自己決定を区別する
[33]プライバシーの権利は、私生活や自分に関する情報を不当に公開・利用されないことに関わります。住所、電話番号、病歴などを無断で広められない利益が、その例です。
一方、[34]自己決定権は、自分の生き方に関わる一定の私的な事項を、自ら決めることに関係します。両者は、主に憲法13条を根拠に論じられます。
例えば、医療では治療内容やリスクについて説明を受け、本人が考えて同意することが重視されます。これは、インフォームド・コンセントという考え方と関係します。
ただし、『自分のことなら何でも無制限に認められる』という意味ではありません。保障の範囲は、決定の内容や他者への影響などによって問題になります。
- プライバシー:私生活や情報を不当に公開・利用されない。
- 自己決定:一定の私的事項について、自分で決める。
知る権利と情報公開制度
[35]知る権利は、情報を受け取り、集めることに関わります。主に憲法21条の表現の自由と結びつきます。表現する側だけでなく、情報を受け取る側も重要なのです。
例えば、政治について判断するには、政策や行政の働きについての情報が必要です。そのための具体的な仕組みの一つが[36]情報公開制度です。
行政機関が保有する情報について、法律や条例に基づいて開示を求めます。『知る権利』は権利の考え方、『情報公開制度』は具体的な仕組みとして区別しましょう。
情報公開制度があっても、行政の情報が例外なくすべて公開されるわけではありません。個人情報など、法令に基づいて不開示になる情報もあります。
環境権と、新しい人権の保障範囲
良好な環境の中で生活する[37]環境権は、憲法13条・25条などを根拠に主張されてきました。公害によって健康や生活が脅かされる問題が、その背景にあります。
ただし、環境権それ自体が、裁判で直接請求できる独立した権利として一般に確立しているわけではありません。『主張されていること』と『具体的な裁判で認められる範囲』を区別してください。
プライバシーの権利、自己決定権、知る権利、環境権などを、[38]新しい人権と呼びます。憲法にその名前の条文が追加された、という意味ではありません。
既存の条文から、社会の変化に対応した権利保障を考えているのです。すべてが同じ根拠条文で、同じ範囲まで確立した権利だと覚えないことも大切です。
一言で整理:新しい人権は社会の変化に応じて論じられる権利。主に13条のプライバシー・自己決定と、主に21条の知る権利を区別しましょう。
6.義務と人権を取り違えない
国民の三大義務
憲法には権利だけでなく、義務の規定もあります。国民の三大義務として学ぶのは、次の3つです。
- 子に普通教育を受けさせる義務(26条)
- 勤労の義務(27条)
- 納税の義務(30条)
教育については、子どもの権利と保護者の義務を区別しましたね。『教育を受けることが子どもの義務』と置き換えないようにしましょう。
憲法尊重擁護義務は、誰に課されているか
憲法99条が、憲法を尊重し擁護する義務を課しているのは、天皇・摂政・国務大臣・国会議員・裁判官・その他の公務員です。
摂政は、天皇が未成年であるなど一定の場合に、天皇に代わって国事行為を行う立場です。一般の国民は、99条の対象として列挙されていません。
ここは授業の最初に戻ると理解できます。憲法は国家権力を制限して人権を守るルールなので、権力を担う側などに、その憲法を尊重させることが重要なのです。
人権は、義務を果たした人へのご褒美ではない
99条に一般の国民が書かれていないからといって、国民が法律を守らなくてよい、という意味ではありません。
また、働けない人や納税できない人には人権がない、という意味でもありません。病気や失業などで困難を抱えた人も、人として尊重され、権利を保障されます。
義務の規定と基本的人権の保障を、単純な交換条件にしないでください。『義務を果たさない限り人権を認めない』という説明は不適切です。
一言で整理:三大義務と99条の対象を区別する。人権を、義務と引き換えに与えられるものと考えない。
確認問題で各項目を復習しよう
選択式は全20問です。解きたい項目を開き、選択肢を1つ選んで「答え合わせ」を押してください。
解説を読んだら「もう一度解く」で再挑戦できます。各問の「本文を復習する」から、対応する解説も開けます。
回答は保存・送信されません。ページを再読み込みするとリセットされます。
テキストの確認問題2(E1・E2)(2問)
E1 生存権の具体化
生存権の具体化として最も適切なものはどれか。
E1の解答・解説を開く
正解:3
- 1:政治に参加する参政権に関わります。
- 2:自由権のうち、精神の自由に含まれます。
- 3:健康で文化的な最低限度の生活を支える制度であり、生存権を具体化しています。
- 4:国家賠償請求権に関わります。生存権とは区別します。
E2 日本国憲法と天皇
日本国憲法と天皇について、正しい説明はどれか。
E2の解答・解説を開く
正解:3
- 1:この日は公布です。施行は1947年5月3日です。
- 2:国会が指名し、天皇がその指名に基づいて任命します。
- 3:国事行為と内閣の関係を正しく説明しています。
- 4:国会の発議に加え、国民投票による承認が必要です。
1.成立と三つの基本原理(3問)
Q01 成立の経緯
日本国憲法の成立について、最も適切な説明はどれか。
Q01の解答・解説を開く
正解:2
- 1:草案の提示後、日本政府の改正案作成と帝国議会での審議・修正がありました。
- 2:大日本帝国憲法の改正手続によって成立した点も押さえましょう。
- 3:成立時には大日本帝国憲法の改正手続が使われました。現在の96条の手続との混同です。
- 4:当時は衆議院と貴族院です。参議院ではありません。
Q02 三大原理と人権保障
日本国憲法の基本原理について、最も適切な説明はどれか。
Q02の解答・解説を開く
正解:4
- 1:国民主権は、無制限の多数派支配を意味しません。
- 2:政府への賛否にかかわらず、人としての権利が保障されます。
- 3:天皇主権ではなく国民主権です。
- 4:三大原理と立憲主義の関係を正しく説明しています。
Q03 指名と任命
内閣総理大臣と最高裁判所長官の指名・任命について、正しい組合せはどれか。
Q03の解答・解説を開く
正解:1
- 1:指名する機関は異なりますが、任命するのはどちらも天皇です。
- 2:指名するのは国会で、任命するのは天皇です。
- 3:最高裁判所長官は内閣が指名し、天皇が任命します。
- 4:天皇が自由に人物を選ぶわけではありません。
2.憲法改正は二つの段階(3問)
Q04 硬性憲法の意味
日本国憲法が硬性憲法であるという説明として、最も適切なものはどれか。
Q04の解答・解説を開く
正解:3
- 1:文章の難しさによる分類ではありません。
- 2:改正は可能ですが、厳しい手続が必要です。
- 3:改正手続に着目した分類です。
- 4:各議院の総議員の3分の2以上による発議と、国民投票による承認が必要です。
Q05 発議に必要な人数
ある議院の総議員が300人、当日の出席議員が240人である。憲法改正の発議に、この議院で必要な賛成は最低何人か。
Q05の解答・解説を開く
正解:2
- 1:出席議員240人の3分の2を使った誤りです。基準は総議員です。
- 2:300×2÷3=200人。総議員の3分の2以上が必要です。
- 3:総議員の過半数では足りません。
- 4:出席議員の過半数では足りません。
Q06 国民投票の過半数
憲法改正の国民投票について、正しい説明はどれか。
Q06の解答・解説を開く
正解:4
- 1:半数ちょうどでは過半数にならず、承認されません。
- 2:投票への参加人数と改正への賛成票を混同しています。
- 3:発議には両議院の要件充足が必要で、国民投票も必要です。
- 4:分母は有効な賛成票と反対票の合計です。棄権・無効票は含みません。
3.権利の分類:国に何を求めるのか(3問)
Q07 自由権の3分類
自由権と具体例の組合せとして、最も適切なものはどれか。
Q07の解答・解説を開く
正解:1
- 1:守る対象によって、精神・人身・経済活動の自由を区別しています。
- 2:どちらも自由権の具体例です。
- 3:手続の保障は人身の自由、意見の発表は精神の自由です。
- 4:自由権も、他者の権利や安全との関係で規制の必要性・限度が問題になります。
Q08 なぜ社会権が必要か
社会権が必要とされる理由として、最も適切な説明はどれか。
Q08の解答・解説を開く
正解:3
- 1:社会権は自由権に加わる保障であり、自由権を不要にしません。
- 2:具体的な要件や内容は法律・制度で定められ、無制限の要求を意味しません。
- 3:困窮や教育機会の不足などに対し、国家の積極的な役割を求めます。
- 4:選挙への参加は参政権に関わります。
Q09 参政権と請求権
参政権と請求権の区別として、最も適切なものはどれか。
Q09の解答・解説を開く
正解:2
- 1:政治への参加と権利の実現・救済が逆になっています。
- 2:何をするための権利かを見れば区別できます。
- 3:参政権は政治参加、請求権は権利の実現・救済などに関係します。
- 4:希望や意見を伝える権利であり、内容の実現が必ず保証されるわけではありません。
4.生活の条件を支える権利と救済の制度(3問)
Q10 教育の権利と義務
憲法26条について、最も適切な説明はどれか。
Q10の解答・解説を開く
正解:4
- 1:権利を持つ子どもと、教育を受けさせる義務を負う保護者を区別します。
- 2:無償は授業料を徴収しないことを意味し、すべての費用の無償ではありません。
- 3:教育を受ける権利は社会権です。
- 4:誰の権利で、誰の義務かを正しく区別しています。
Q11 労働基本権と勤労の権利
働くことに関する権利の説明として、最も適切なものはどれか。
Q11の解答・解説を開く
正解:1
- 1:28条の労働基本権と27条の勤労の権利は社会権です。
- 2:労働三権の内容とは異なります。
- 3:職業選択の自由は自由権、勤労の権利は社会権です。
- 4:労働組合などが使用者と労働条件について交渉する権利です。
Q12 国家賠償と刑事補償
刑事手続で身体を拘束された後、無罪判決を受けた人の補償について、正しい説明はどれか。
Q12の解答・解説を開く
正解:3
- 1:刑事補償は、公務員の行為が違法であることを必須としません。
- 2:権利の救済に関わる請求権などに分類されます。
- 3:国家賠償との重要な違いです。具体的な要件は法律で定められます。
- 4:国家賠償は職務上の不法行為による損害、刑事補償は拘束後の無罪など、それぞれ異なる要件を持ちます。
5.社会の変化と新しい人権(4問)
Q13 公共の福祉
SNS上の表現と他人の私生活に関する説明として、最も適切なものはどれか。
Q13の解答・解説を開く
正解:2
- 1:他人の権利を侵害してよいという意味ではありません。
- 2:人権相互の調整と、制限の目的・必要性・程度を考えます。
- 3:公共の福祉という言葉だけで、あらゆる制限が正当化されるわけではありません。
- 4:幸福追求権は、希望を無条件に実現してもらう権利ではありません。
Q14 プライバシーと自己決定
新しい人権について、最も適切な組合せはどれか。
Q14の解答・解説を開く
正解:4
- 1:それぞれプライバシーの権利と自己決定権に関わる例です。
- 2:主に13条など既存の条文を根拠に論じられます。
- 3:保障の範囲は決定の内容や他者への影響などにより問題になります。
- 4:どちらも主に13条を根拠に論じられますが、着目する利益が異なります。
Q15 知る権利と情報公開制度
知る権利と情報公開制度について、最も適切な説明はどれか。
Q15の解答・解説を開く
正解:1
- 1:情報を受け取り集める権利と、行政情報の開示を求める制度を区別しています。
- 2:主に表現の自由との関係で論じられます。
- 3:個人情報など、法令に基づく不開示情報があります。
- 4:関連しますが、権利の考え方と具体的な制度は区別します。
Q16 環境権と新しい人権
環境権について、最も適切な説明はどれか。
Q16の解答・解説を開く
正解:3
- 1:環境権という名称がそのまま条文にあるわけではありません。
- 2:環境権それ自体が、直接請求できる独立した権利として一般に確立しているわけではありません。
- 3:根拠となる条文と、具体的な保障範囲を区別した説明です。
- 4:情報化や公害などの変化が背景にあり、保障の範囲も権利によって異なります。
6.義務と人権を取り違えない(2問)
Q17 三大義務と99条
国民の義務と憲法尊重擁護義務について、正しい説明はどれか。
Q17の解答・解説を開く
正解:2
- 1:99条は天皇・摂政・国務大臣・国会議員・裁判官・その他の公務員を列挙しています。
- 2:三大義務と99条の対象を区別できています。
- 3:投票と信仰は、三大義務の内容ではありません。
- 4:99条の対象の問題と、法を守ることは別です。
Q18 人権は義務との交換条件か
人権と義務の関係について、最も適切な説明はどれか。
Q18の解答・解説を開く
正解:4
- 1:病気で働けないことを理由に、人権そのものが否定されるわけではありません。
- 2:人としての尊重は納税能力と引き換えではありません。
- 3:教育を受ける権利を、子どもの納税と交換する考え方は不適切です。
- 4:義務の規定と、人として保障される権利を単純な交換条件にしないことが重要です。
自分の言葉で説明しよう(記述2問)
記述1の解答例を開く
不当に干渉されない自由があっても、病気や困窮によって生活や学習ができない場合がある。そのため、生存や教育などの条件を支える積極的な施策が必要になる。
確認ポイント:国家の不当な干渉を排除することと、生活の条件を整えることを区別できているか。
記述2の解答例を開く
情報化や公害、医療の進歩などにより、新たに守るべき利益が問題となったためである。新しい条文が必ず追加されたのではなく、13条や21条、25条など既存の条文を根拠に権利保障が論じられている。
確認ポイント:社会の変化と、既存の条文から保障を考えることの両方に触れているか。
今回のまとめ
日本国憲法は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を基本原理とします。国会や内閣なども憲法に従い、権力は人権を守るために制限されます。
権利は、国との関係から分類しましょう。自由権・社会権・参政権・請求権の違いが分かると、具体例の問題にも対応しやすくなります。
新しい人権や義務も、個人を尊重するという土台に結びつけて説明してみてください。
