共テ公共・政経ゼロから8割講座 / 第2章・第7講
平等を具体的な場面で考える
全員を同じように扱えば、それで平等でしょうか。SNSの投稿削除、捜索の令状、宗教と公費など、身近な疑問から人権の保障を考えます。
学習のゴール:どの権利が問題となり、何を理由に判断するのかを説明できるようになること。判例は、名前だけでなく「対象・理由・結論」を結びつけましょう。
読みたい項目を開いて学べます。動画の復習にも、授業の説明台本にも活用してください。
授業動画
授業テキスト
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赤字の語句と[番号]は、授業テキストの穴埋め[39]〜[65]に対応しています。[43]には「優生保護法」、[44]には「個人」と記入します。前後の「旧」「の尊重」は印刷済みです。
項目名を押すと解説が開きます。もう一度押すと閉じられます。
1.同じ扱いと異なる扱い
拡大プリントは、不公平な特別扱い?
全員に同じプリントを配れば、それで平等でしょうか。小さな文字を読むのが難しい人には、同じプリントでは情報が十分に届かないことがあります。
そこで、その人に拡大したプリントを用意します。紙の大きさは違っても、目指しているのは、同じように問題文を読み、学習に参加できることです。
法の下の平等は、すべての区別を禁止する?
憲法14条が定めるのは、[39]法の下の平等です。合理的な理由のない差別を禁止しますが、あらゆる区別を禁止するわけではありません。
例えば、選挙権には年齢の条件があります。「年齢で区別している」という事実だけで、直ちに違憲とはいえません。区別の目的に理由があるか、その方法や程度が目的に見合うかを考えます。
反対に、資料を配る際に出身地だけで配布を断ったらどうでしょう。情報を受け取ることと出身地に合理的な関係がなければ、その区別は問題になります。
形式的平等と実質的平等
[40]形式的平等は、全員に同じ基準やルールを適用することに着目します。特定の人だけを理由なく優遇しないためにも大切な考え方です。
[41]実質的平等は、現実にある不利な条件を調整し、機会や権利が実際に保障されることに着目します。拡大プリントや、車いすを使う人も建物に入れるスロープが身近な例です。
- 同じ大きさの文字の資料:扱いの共通性に注目する。
- 必要な人への拡大版:情報を得る際の障壁を取り除く。
- 出身地による配布拒否:区別と目的の関係に合理性があるかを問う。
結果を全部同じにすることではない
実質的平等は、全員の点数を必ず同じにするという意味ではありません。拡大プリントを配っても、解答や成績まで同じにするわけではありませんよね。
「誰の、どのような不利な条件を、何のために調整するのか」を具体的に説明できることが重要です。対応の違いだけを見て、公平・不公平を決めつけないようにしましょう。
一言で整理:同じ扱いかどうかに加えて、実際に機会を得られるかを考える。異なる対応にも、合理的な理由がある場合があります。
2.平等権の判例を「対象・理由・結論」で整理
判例は、名前と結論だけでは足りない
判例を読むときは、まず「何が争われたのか」を確認しましょう。次に、問題となった権利と判断の理由を整理します。「違憲」という結論が同じでも、問題の中身は同じではありません。
尊属殺重罰規定の判決:刑罰の差は合理的か
尊属とは、親や祖父母など、自分より上の世代に当たる親族です。直接の親子関係をたどってつながる親・祖父母などを、直系尊属といいます。
旧刑法200条は、親などの直系尊属を殺した場合、通常の殺人より著しく重い刑を定めていました。当時の法定刑は死刑または無期懲役で、有期懲役を選べる通常の殺人との間に大きな差がありました。
最高裁大法廷は1973年、この重罰規定を[42]違憲と判断しました。法定刑の差が著しく不合理で、憲法14条に反するとしたのです。
刑を重くする区別そのものが、すべて許されないとした判決ではありません。その程度が合理的な範囲を超えていたことが重要です。第1項目の「すべての区別が差別ではない」という考え方と結びつけましょう。
旧優生保護法の判決:身体と平等の両面から考える
旧[43]優生保護法のもとでは、障害などを理由とする不妊手術が行われました。本人の意思に反して、子どもを持つ可能性を奪う重大な人権侵害が問題となりました。
最高裁大法廷は2024年7月3日、対象となった旧法の規定を、憲法13条と14条1項に違反すると判断しました。
- 13条:[44]個人の尊重を土台に、意思に反して身体への侵襲を受けない自由が問題になる。
- 14条1項:[45]法の下の平等に反する、障害などを理由とした不合理な差別が問題になる。
「国が決めたことだから、本人の意思を無視してよい」とはなりません。人を一人の個人として尊重することと、不合理な差別をしないことの両方から考えます。
二つの判例の見分け方
尊属殺重罰規定では刑罰の著しい差、旧優生保護法では障害などを理由とする不妊手術の規定が争われました。事件名を見たら、その対象を一文で言えるようにしましょう。
一言で整理:1973年は刑罰の差と14条。2024年は身体への侵襲と不合理な差別、13条・14条。結論だけでなく理由をセットにします。
3.意見を伝える自由と検閲
自由な発信は、政治を判断するためにも必要
政府の政策に賛成する意見しか発表できなかったら、私たちは問題点を比較できるでしょうか。さまざまな情報や意見に触れられることが、政治を判断する土台になります。
憲法21条の[46]表現の自由は、自分の考えを文章・言葉・映像などで伝える自由です。自分らしく生きる自己実現と、議論を通して政治を担う民主政治の両方を支えます。
ここでは、発信する人だけでなく受け取る人にも注目してください。情報を受け取り集める「知る権利」は、表現の自由と深く結びついています。
検閲は、誰が・いつ・何をすることか
[47]検閲は、行政権が主体となり、表現物の内容を発表前に網羅的・一般的に審査し、不適当と認めるものの発表を禁止することを特徴とします。憲法21条は検閲を禁止しています。
例えば、行政機関が新聞社にすべての記事を事前提出させ、「政府を批判しているので発表不可」と選別する制度を考えてください。都合の悪い情報が社会に出る前に止められてしまいます。
- 誰が:行政権が主体となる。
- いつ・どのように:発表前に、内容を網羅的・一般的に審査する。
- 何をする:不適当と判断したものの発表を禁止する。
SNSの投稿削除は、必ず憲法上の検閲?
民間SNSの運営会社が利用規約に基づいて投稿を削除する場合、行政権による検閲とは主体や仕組みが異なります。削除されたという事実だけで、直ちに憲法上の検閲と同一視はできません。
ただし、検閲に当たらないことと、削除が必ず適法であることは別です。利用規約などの契約内容、不法行為などの法律、人権保障の趣旨を踏まえて考える必要があります。
編集者が原稿を確認することなども、発表前の確認というだけで憲法上の検閲になるわけではありません。一方で、検閲の定義に当たらない表現の制限も、別途その正当性が問題になります。
一言で整理:検閲の判断では主体・時点・方法を確認する。「検閲ではない」から「どんな制限でもよい」へ飛躍しないことが大切です。
4.刑罰権の行使を手続で制限する
犯罪を調べる側にもルールが必要
警察が「怪しいと思う」というだけで、自由に家を捜索し、身体を拘束できたらどうでしょう。犯罪に関係のない人の生活や自由も脅かされてしまいます。
刑事手続の保障は、犯罪を放置するための仕組みではありません。国家の強い権力を適正な手続で制限し、誤った処罰や不当な強制を防ぐためにあります。
令状主義:捜査する人と許可する人を分ける
逮捕や捜索・差押えなどについて、原則として裁判官の令状を必要とするのが[48]令状主義です。令状を発付する[49]裁判官と、捜査する警察官を区別してください。
捜査する側が自分で許可も出せると、必要性を別の立場から確認できません。そのため、原則として裁判官の判断を必要とします。ただし、現行犯逮捕など、法律で認められた例外があります。
黙秘権と、自白に関する二つの保障
[50]黙秘権は、自己に不利益な供述を強要されない権利です。「疑われた人なら、無理にでも話させてよい」とはなりません。厳しい取調べで、無実の人が事実と違うことを認める危険もあるからです。
憲法36条は公務員による拷問を禁止し、38条は自白の扱いについて次の二つを区別しています。
- 強制・拷問・脅迫などによる自白:証拠にすることができない。
- 本人の自白が唯一の不利益な証拠:それだけで有罪にすることはできない。
自発的に「私がやりました」と述べた場合でも、他に裏付けがなく、自白だけが唯一の不利益な証拠なら有罪にはできません。「自白をどう得たか」と「自白以外の証拠があるか」は別の確認点です。
罪刑法定主義と遡及処罰の禁止
[51]罪刑法定主義は、何が犯罪で、どのような刑罰を科すかを、あらかじめ法律で定める原則です。権力者が気に入らない行為を、その場の判断で処罰することを防ぎます。
行為時には適法だったことを、後の法律でさかのぼって処罰する[52]遡及処罰は、憲法39条で禁止されます。「当時は犯罪ではなかったが、今つくった法律で罰する」という扱いはできません。
2000年の殺人事件に、2010年の時効廃止は適用される?
公訴時効は、一定の期間が過ぎると起訴できなくなる制度です。殺人は2000年当時も犯罪で、当時の公訴時効は15年でした。
2010年4月27日の改正では、人を死亡させた罪で死刑に当たるものについて公訴時効が廃止されました。殺人罪も対象です。施行時にまだ時効が完成していない事件にも適用されます。
したがって、テキストの2000年の殺人事件には適用されるが答えです。2010年時点では、当時の15年も経過していません。2005年の期間延長が、2000年の事件にも当然に適用されたと考える必要はありません。
これは、適法だった行為を後から犯罪に変えるものではありません。行為時から犯罪だった事件について、起訴できる期間のルールを変えたものです。最高裁も、この経過措置は憲法39条・31条に反しないとしています。
ただし、すでに完成した時効を、この改正で復活させるわけではありません。また、刑事手続に関する変更なら何でも過去の事件に適用できる、という一般論に広げないでください。
一言で整理:令状の原則、自白の二つの保障、事前に法律を定める原則を区別する。時効問題では「行為時に犯罪か」「施行時に時効が完成しているか」を確認します。
5.信教の自由・政教分離と、経済活動の自由
信じる自由と、信じない自由
信教の自由には、宗教を信じる自由だけでなく、信じない自由、宗教的な行為への参加を強制されない自由も含まれます。国家が特定の信仰を強制したら、こうした自由が損なわれます。
国家と宗教を分離し、国家の宗教的中立を保つための原則が[53]政教分離です。国家と宗教の関係を規律するもので、宗教団体が政治的意見を述べることを一律に禁止する原則ではありません。
目的と効果を、具体的な状況から考える
税金を使った行事が宗教と関係していたら、必ず違憲でしょうか。津地鎮祭訴訟などで用いられた[54]目的・効果基準では、その行為の目的と、宗教への援助・促進などの効果に着目します。
見た目が宗教に関係するかどうかだけでは、判断できません。どんな場面で、何のために、どの程度関わったかを考えます。
津地鎮祭訴訟:1977年、合憲
津市が体育館を建設する際、神式の地鎮祭を行い、公費を支出しました。地鎮祭は工事の安全などを祈る儀式です。
最高裁は[55]合憲と判断しました。工事の安全を願うという世俗的な目的を認め、宗教を援助・促進する効果があるとはいえないと評価したのです。世俗的とは、宗教そのものを目的とするのではなく、一般の社会生活に関わるという意味です。
愛媛玉串料訴訟:1997年、違憲
こちらは、愛媛県が靖国神社などに玉串料等を公費から支出した事件です。玉串料は神道の儀式に関わる金銭です。
最高裁は[56]違憲と判断しました。支出には宗教的意義があり、特定の宗教への援助などになると評価されました。
両事件とも「公費支出」と「宗教との関係」があります。結論を分けるのは、目的や効果の評価です。「公費を使えばすべて違憲」「慣習ならすべて合憲」という覚え方は避けましょう。
なお、政教分離のすべての事件を、同じ基準だけで機械的に処理するわけではありません。ここでは二つの判例で、どの事情がどう評価されたかを押さえます。
別の権利の判例:薬局の距離制限
薬局を開こうとした人が、「ほかの薬局に近いから」という理由で開業を制限されたら、どの自由が問題になるでしょうか。これは、憲法22条の職業選択の自由に関わる問題です。
1975年の薬事法距離制限判決では、規制は必要かつ合理的とはいえず、[57]違憲とされました。薬局の過当競争から医薬品の品質低下につながるという説明だけでは、距離制限の必要性を十分に裏付けられなかったのです。
医師免許など、生命・健康を守るための合理的な規制まで否定したわけではありません。規制の目的に対して、その手段が必要で合理的かを考えます。
分類の確認:津地鎮祭・愛媛玉串料は政教分離。薬事法距離制限は経済活動の自由。同じページに載っていても、問題となる権利を分けて整理しましょう。
6.生存権は法律で具体化される
生存権があれば、好きな給付額を請求できる?
憲法25条は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障します。しかし、条文には「毎月いくらを誰に支給するか」という細かな仕組みまでは書かれていません。
そのため、給付の対象・条件・金額などは、生活保護法をはじめとする法律や制度によって具体化されます。「25条があるので、自分が希望する金額をそのまま支給せよ」と自由に決められるわけではありません。
堀木訴訟:併給禁止と国会の判断の幅
1982年の堀木訴訟では、障害福祉年金と児童扶養手当を合わせて受け取ることを禁じた、当時の併給禁止規定が争われました。併給とは、複数の給付を併せて受け取ることです。
最高裁の結論は[58]合憲でした。社会保障の制度設計について、法律をつくる国会に認められる判断の幅を[59]立法裁量といいます。
支援の方法には、現金を給付する、医療費を軽減するなど、さまざまな選択肢があります。財政状況や他の制度との関係も考える必要があるため、国会に広い判断の幅が認められます。
ただし、これは当時争われた規定についての判断です。「現在の社会保障では、どんな給付も併せて受け取れない」と一般化してはいけません。
朝日訴訟:訴訟終了と傍論を区別する
1967年の[60]朝日訴訟では、生活保護の基準と憲法25条の関係が争われました。原告の死亡により訴訟は終了しています。
最高裁は傍論で、25条から直ちに個別の具体的な給付請求権が生じるわけではないことなどを述べました。傍論とは、事件の結論に直接必要な判断とは別に述べられた考え方です。
したがって、朝日訴訟を単に「生活保護基準を違憲とした判決」と覚えるのは誤りです。原告死亡による訴訟終了と、25条について述べた傍論を分けてください。
裁量はあるが、無制限ではない
国会や行政に裁量があるからといって、どんな内容でも合憲になるわけではありません。著しく合理性を欠くなど、裁量の限界を超える場合まで、裁判所が審査できないわけではないのです。
また、25条から直接、希望する金額を請求できないことと、法律に基づく給付請求ができないことも別です。法律上の要件を満たす人の権利まで否定する説明ではありません。
補足:プログラム規定説
[61]プログラム規定説は、25条を、国が生活保障を目指す政治的・道義的な責務を示した規定と考える学説です。国の目標や責務として捉えることに着目してください。
これは学説の説明です。判例の具体的な判断と、学説の名称をそのまま一対一に置き換えず、何が述べられたのかを確かめましょう。
一言で整理:憲法上の保障を法律・制度で具体化する。国会・行政には一定の裁量があるが、その限界を超える判断まで許されるわけではありません。
7.宣言から条約へ――国際人権保障
「人権を守ろう」という宣言と、法的な義務
人権保障は、一つの国だけの課題ではありません。第二次世界大戦の経験などを背景に、国際社会で人権を守る共通の仕組みが発展してきました。
1948年、国連総会で採択された[62]世界人権宣言は、すべての人に保障すべき人権の共通基準を示しました。宣言そのものは条約ではなく、条約として各国を拘束するものではありません。
テキストの「法的拘束力は、あった・なかった」では、なかったを選びます。ただし、価値がないという意味ではありません。後の条約や各国の人権保障に、大きな影響を与えました。
国際人権規約:AとBを区別する
1966年に採択された[63]国際人権規約は、締約国に法的義務を課す条約です。柱となる二つの規約を確認しましょう。
- A規約(社会権規約):労働、社会保障、教育などの経済的・社会的・文化的権利を扱う。
- B規約(自由権規約):表現・身体の自由などの市民的権利と、政治的権利を扱う。
日本は両規約を1979年に批准しました。「1966年」は国際社会で採択された年、「1979年」は日本が批准した年です。同じ出来事の年号ではありません。
女性差別撤廃条約と子どもの権利条約
[64]女性差別撤廃条約は、女性に対する差別の撤廃を求める条約です。女子差別撤廃条約とも呼ばれます。1979年に採択され、日本は1985年に締結しました。
[65]子どもの権利条約は、正式には「児童の権利に関する条約」です。1989年に採択され、日本は1994年に批准しました。
子どもを保護の対象とするだけでなく、権利を持つ主体として捉える点が大切です。子どもに関係する事柄について、年齢や成熟度に応じて本人の意見を尊重することなどが含まれます。
年号は、何が起きた年かをセットで
| 文書 | 採択年 | 日本との関係・性格 |
|---|---|---|
| 世界人権宣言 | 1948年 | 共通基準を示す宣言。条約ではない。 |
| 国際人権規約 | 1966年 | 1979年に両規約を批准。 |
| 女性差別撤廃条約 | 1979年 | 1985年に締結。 |
| 子どもの権利条約 | 1989年 | 1994年に批准。 |
条約を結んだ後と、保障される人の範囲
条約は、結んで終わりではありません。国際人権条約には、各国政府の報告を専門家の委員会が審査するなど、履行状況を確認する仕組みがあります。
日本国憲法についても、外国人だから基本的人権が一切保障されない、という理解は誤りです。権利の性質上適用できるものは外国人にも及びます。ただし、国政選挙の選挙権など、すべての権利が日本国民と同じとは限りません。
一言で整理:宣言と条約、採択と批准、保護の対象と権利の主体を区別する。用語だけでなく、誰にどんな義務や権利があるかを説明しましょう。
確認問題で各項目を復習しよう
選択式は全24問です。解きたい項目を開き、選択肢を1つ選んで「答え合わせ」を押してください。
解説を読んだら「もう一度解く」で再挑戦できます。「本文を復習する」から対応する解説に戻れます。
回答は保存・送信されません。ページを再読み込みするとリセットされます。
テキストの確認問題3(E1・E2・E3)(3問)
E1 国際的な人権保障
国際的な人権保障について正しい説明はどれか。
E1の解答・解説を開く
正解:1
- 1:宣言の採択年と、国際人権規約の条約としての性格を正しく説明しています。
- 2:世界人権宣言は条約ではありませんが、国際人権規約は条約です。
- 3:A規約は社会権規約、B規約は自由権規約です。
- 4:日本は1985年に締結しました。女性差別撤廃条約とも呼ばれます。
E2 朝日訴訟と堀木訴訟
朝日訴訟と堀木訴訟に共通する考え方として、最も適当なものはどれか。
E2の解答・解説を開く
正解:3
- 1:制度の具体化には国会や行政の判断が関わり、裁判所がすべて決めるわけではありません。
- 2:25条は生存権を保障します。直ちに具体的給付請求権が生じないことと、意味がないことは別です。
- 3:共通する考え方です。ただし、著しく合理性を欠くなど、裁量の限界を超える場合は問題になります。
- 4:法律による変更はあり得ます。ただし、その内容が憲法上問題にならないとは限りません。
E3 人権の保障
人権の保障について正しい説明はどれか。
E3の解答・解説を開く
正解:3
- 1:実質的平等は不利な条件を調整して機会や権利を確保する考え方で、結果の一律化ではありません。
- 2:民間企業の削除を、その事実だけで行政権による検閲と同一視できません。
- 3:捜査する警察官と、令状を発付する裁判官を区別します。現行犯逮捕などの例外はあります。
- 4:津地鎮祭訴訟は合憲、愛媛玉串料訴訟は違憲です。目的や効果などが問題になります。
1.同じ扱いと異なる扱い(2問)
Q01 拡大プリントと平等
小さい文字を読むことが難しい生徒に拡大プリントを用意する理由として、最も適切なものはどれか。
Q01の解答・解説を開く
正解:2
- 1:結果を同じ数字にそろえることが、実質的平等の意味ではありません。
- 2:実質的平等に着目した説明です。文字の読みづらさという障壁を取り除きます。
- 3:異なる対応にも、その目的や手段の合理性が必要です。
- 4:解答を知らせることと、問題文を読めるようにすることは違います。
Q02 法の下の平等
憲法14条の法の下の平等について、正しい説明はどれか。
Q02の解答・解説を開く
正解:4
- 1:区別の目的や程度に合理的な理由があるかを考えます。
- 2:同じ扱いでも、不利な条件によって機会が得られない場合があります。
- 3:結果の数字を必ず同じにすることではありません。
- 4:異なる扱いの有無だけでなく、合理性を検討する点が重要です。
2.平等権の判例を「対象・理由・結論」で整理(2問)
Q03 尊属殺重罰規定
1973年の尊属殺重罰規定に関する最高裁判決の説明として、正しいものはどれか。
Q03の解答・解説を開く
正解:1
- 1:著しく重い法定刑を定めた区別の程度が問題となりました。
- 2:加重する区別そのものをすべて否定した判決ではありません。
- 3:この事件の対象は刑罰の差であり、政教分離ではありません。
- 4:結論は違憲です。
Q04 旧優生保護法
2024年7月3日の旧優生保護法に関する最高裁大法廷判決について、最も適切なものはどれか。
Q04の解答・解説を開く
正解:3
- 1:障害を理由に個人の尊厳や権利を否定してよいという考え方ではありません。
- 2:本人の意思に反する身体への侵襲と、不合理な差別の両面が問題です。
- 3:個人の尊重に関わる自由と、法の下の平等の両面を押さえましょう。
- 4:薬局の距離制限は1975年の薬事法に関する判決です。
3.意見を伝える自由と検閲(3問)
Q05 表現の自由の役割
表現の自由が民主政治を支える理由として、最も適切なものはどれか。
Q05の解答・解説を開く
正解:2
- 1:反対意見を含む自由な議論が重要です。
- 2:発信の自由と、情報を受け取る側の知る権利が結びつきます。
- 3:情報を受け取る側も重要です。
- 4:表現の自由が、他の権利を無条件に侵害する許可になるわけではありません。
Q06 検閲の特徴
憲法上の検閲の典型例として、最も適切なものはどれか。
Q06の解答・解説を開く
正解:4
- 1:本人による確認は行政権の審査ではありません。
- 2:事前確認というだけで、憲法上の検閲にはなりません。
- 3:民間の投稿削除を、その事実だけで検閲と同一視できません。
- 4:行政権、発表前の網羅的・一般的審査、発表禁止という特徴があります。
Q07 SNSの投稿削除
民間SNSの投稿削除について、正しい説明はどれか。
Q07の解答・解説を開く
正解:1
- 1:検閲への該当性と、行為が適法かどうかは別の問題です。
- 2:検閲でないことは、適法性の無条件の保証ではありません。
- 3:民間企業による削除と行政機関の審査は区別します。
- 4:契約内容や人権保障の趣旨なども考える必要があります。
4.刑罰権の行使を手続で制限する(4問)
Q08 令状を発付する人
令状主義について、最も適切な説明はどれか。
Q08の解答・解説を開く
正解:3
- 1:原則として令状を発付するのは裁判官です。
- 2:現行犯逮捕など、法律上の例外があります。
- 3:別の立場から必要性を確認することが、不当な強制を防ぎます。
- 4:捜索にも令状などの手続上の制約があります。
Q09 黙秘権と自白
自白について、正しい説明はどれか。
Q09の解答・解説を開く
正解:2
- 1:強制・拷問などによる自白は証拠にできません。
- 2:自白を得た方法の問題とは別に、自白だけでの有罪を防ぐ保障があります。
- 3:自己に不利益な供述を強要されない権利が保障されています。
- 4:本人の自白が唯一の不利益な証拠なら有罪にはできません。
Q10 罪刑法定主義
行為時に適法だった行為について、後から刑罰法規をつくり処罰することの説明として正しいものはどれか。
Q10の解答・解説を開く
正解:4
- 1:捜査機関の判断で禁止を取り払うことはできません。
- 2:何が犯罪でどんな刑罰かを、あらかじめ法律で定める必要があります。
- 3:行為時から犯罪だった事件の時効変更とは区別が必要です。
- 4:行為時に犯罪ではなかった行為を、後の法律で処罰することはできません。
Q11 公訴時効廃止の適用
2000年の殺人事件について、2010年4月27日時点で公訴時効が完成していなかった。時効廃止の適用について、正しいものはどれか。
Q11の解答・解説を開く
正解:1
- 1:施行時に時効未完成という条件を満たします。適法な行為を後から犯罪にする遡及処罰とは異なります。
- 2:殺人は2000年当時も犯罪でした。
- 3:この改正で、すでに完成した時効が復活するわけではありません。
- 4:2005年の期間延長は、それ以前の犯罪に一律に適用されたわけではありません。2010年の経過措置と区別します。
5.信教の自由・政教分離と、経済活動の自由(4問)
Q12 政教分離の対象
政教分離について正しい説明はどれか。
Q12の解答・解説を開く
正解:3
- 1:宗教団体の政治的発言を一律に禁じる原則ではありません。
- 2:信仰しない自由や参加を強制されない自由も含まれます。
- 3:国家と宗教の関係を規律する原則として理解します。
- 4:関わりの目的や効果など、具体的な事情を考慮します。
Q13 津地鎮祭と愛媛玉串料
二つの訴訟の最高裁判断として、正しい組合せはどれか。
Q13の解答・解説を開く
正解:2
- 1:結論が逆です。
- 2:津地鎮祭では世俗的な目的等、愛媛玉串料では宗教的意義や援助等が評価されました。
- 3:公費支出があるというだけでは結論は決まりません。
- 4:慣習という説明だけで、常に合憲になるわけではありません。
Q14 目的・効果基準
目的・効果基準による考え方として、最も適切なものはどれか。
Q14の解答・解説を開く
正解:4
- 1:外見が宗教に関係するかだけでは判断できません。
- 2:金額だけで一律に合憲とはいえません。
- 3:あらゆる関わりを一律に禁止するという説明ではありません。
- 4:津地鎮祭訴訟などで用いられた考え方です。ただし全事件を機械的に同じ基準で処理するわけではありません。
Q15 薬事法距離制限
薬事法距離制限違憲判決について、正しい説明はどれか。
Q15の解答・解説を開く
正解:1
- 1:経済活動の自由に関する1975年の判決です。
- 2:地鎮祭の事件とは、対象も権利も異なります。
- 3:合理的で必要な規制まで、すべて否定されたわけではありません。
- 4:併給禁止は堀木訴訟の対象です。
6.生存権は法律で具体化される(3問)
Q16 堀木訴訟と立法裁量
堀木訴訟について、正しい説明はどれか。
Q16の解答・解説を開く
正解:3
- 1:朝日訴訟の説明です。
- 2:裁量の限界を超えた場合まで審査できないわけではありません。
- 3:1982年の判決です。対象となった給付と、国会の判断の幅を結びつけましょう。
- 4:制度を法律で具体化する国会の役割が認められています。
Q17 朝日訴訟の結論と傍論
1967年の朝日訴訟の説明として、最も適切なものはどれか。
Q17の解答・解説を開く
正解:2
- 1:訴訟終了という結論と、25条について述べた傍論を区別します。
- 2:25条だけから直ちに個別の具体的給付請求権は生じないという考え方などが示されました。
- 3:25条を廃止した裁判ではありません。
- 4:争点は生活保護の基準と生存権の関係です。
Q18 25条と具体的な給付
憲法25条について、最も適切な説明はどれか。
Q18の解答・解説を開く
正解:4
- 1:具体的な対象・要件・内容は法律や制度で定められます。
- 2:国の政治的・道義的責務を示す規定と考える学説です。
- 3:法律上の要件に基づく給付請求まで否定することにはなりません。
- 4:学説の意味と、判例・具体的制度の内容を混同しないことが重要です。
7.宣言から条約へ――国際人権保障(3問)
Q19 宣言・A規約・B規約
国際人権保障について正しい説明はどれか。
Q19の解答・解説を開く
正解:1
- 1:宣言と条約の性格、A・Bの対応を正しく説明しています。
- 2:宣言そのものは条約ではありません。
- 3:A・Bが逆です。
- 4:日本の批准は1979年です。採択年と区別しましょう。
Q20 女性と子どもの権利
条約の採択年と日本の締結・批准年について、正しい組合せはどれか。
Q20の解答・解説を開く
正解:3
- 1:採択年と日本の締結年が逆です。
- 2:採択年と日本の批准年が逆です。
- 3:国際社会で文書が採択された年と、日本が同意した年を区別できています。
- 4:1948年は世界人権宣言の採択年です。
Q21 権利の主体と履行確認
人権保障の対象や仕組みについて、最も適切な説明はどれか。
Q21の解答・解説を開く
正解:2
- 1:子ども自身も権利を持つ主体として捉えます。
- 2:条約を結んだ後に履行を確認する仕組みも重要です。
- 3:性質上適用できる基本的人権は外国人にも及びます。
- 4:権利の性質による違いがあり、すべて一律に同じではありません。
自分の言葉で説明しよう(記述3問)
記述1の解答例を開く
文字を読むことが難しい人の不利な条件を調整し、他の人と同じように情報を得て学習に参加できる機会を確保するため。対応の違いだけでなく、その目的と手段の合理性を考える必要がある。
確認ポイント:不利な条件と機会の確保に触れ、結果を必ず同じにするという説明にしていないか。
記述2の解答例を開く
2010年の改正法施行時に時効が完成していないため、改正後の規定が適用される。殺人は行為時から犯罪であり、時効廃止は適法だった行為を後から犯罪にするものではない。すでに完成した時効を復活させる話とは異なる。
確認ポイント:施行時に時効未完成という条件と、行為時にも犯罪だったことの両方に触れているか。
記述3の解答例を開く
行為の目的や宗教に与える効果の評価が異なるため。津地鎮祭では世俗的な目的等が認められて合憲となったのに対し、愛媛玉串料では宗教的意義や特定の宗教への援助等が認められ、違憲とされた。
確認ポイント:両事件の結論と、目的・効果の評価の違いを結びつけて説明しているか。
今回のまとめ
平等は、扱いが同じかどうかだけでなく、区別の合理性や実際の機会から考えます。自由を制限する場面では、誰が何を制限し、どのような手続や理由があるかを確認しましょう。
判例は「対象・理由・結論」を結びつけ、生存権では法律による具体化と裁量の限界を整理します。国際人権保障では、宣言と条約、採択と批准を区別してください。
