共テ公共・政経ゼロから8割講座 / 第3章・第12講
第3章まとめ演習
今回は、国会・内閣・裁判所の仕組みを、問題を解きながらつなぎ直していきます。言葉を知っていても、少し言い換えられると迷うことがありますね。
大丈夫です。長い文は一つずつ区切り、人数の問題は「何人のうち、何人必要か」から考えましょう。正解だけでなく、そこにたどり着く道筋を一緒に確かめていきます。
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この演習の進め方
正誤問題では、文全体が正しければ○、一か所でも誤りがあれば×を選びます。×だと思ったら、どの言葉をどう直すかも考えてみましょう。
「答え合わせ」を押すと、正誤と、その問題の解説が表示されます。間違えた問題は、理由を読んでから「もう一度解く」で再挑戦できます。解説だけ先に読むこともできます。
回答は保存・送信されません。再読み込みするとリセットされます。
国会の役割①|T1〜T6
まずは、国会の仕事と会議の種類です。「誰がするのか」「いつ開くのか」を、文の最後まで確かめましょう。
T1 三つの仕事を分ける
三権分立の下で、国会は立法、内閣は行政、裁判所は司法を担う。
国会議員は全国民を代表し、国会は国権の最高機関であるため、個々の裁判について裁判所に有罪判決を命じることができる。
T1の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
まず、文を前半と後半に分けましょう。国会は法律をつくり、内閣は法律に基づいて政治を進め、裁判所は争いを法に照らして判断します。ここまでは正しいですね。
引っかかるのは「最高機関だから、有罪判決を命じられる」というつなぎ方です。最高機関という言葉は、裁判所の上司という意味ではありません。国会議員が国民の代表でも、個々の裁判の結論を決めることはできないのです。
訂正するなら、最後を「個々の裁判について、裁判所に有罪判決を命じることはできない」に直します。三つの仕事を分けたのに、一つが全部を命令できたら、権力を分ける意味がなくなってしまいますね。
訂正の要点:国会は、個々の裁判について裁判所に有罪判決を命じることはできない。
T2 二つの議院を置く理由
日本の国会は二院制であり、衆議院議員の任期は4年だが、解散によって途中で終了する。
参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選され、参議院には解散がない。
二院制には、慎重な審議を可能にする一方、両院の対立で決定が遅れる面もある。
T2の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
最初に、衆議院と参議院を別々に見ましょう。衆議院は任期4年ですが、解散があればそこで終わります。参議院は任期6年で解散がなく、3年ごとに半数ずつ入れ替わります。この組合せは正しいです。
次に、二院制のよい点と難しい点です。二つの議院が確かめるので、一度決めた内容を別の角度から見直せます。一方、意見が食い違えば、決定まで時間がかかります。文は両方を説明しているので、全体が正しいと判断できます。
T3 特別会はどの選挙の後か
常会は毎年1回召集され、会期は原則150日である。
臨時会は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上が要求すれば、内閣が召集を決定しなければならない。
特別会は、参議院議員の通常選挙の後に召集される国会である。
T3の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
常会、臨時会、特別会を一つずつ確かめましょう。常会は毎年1回、会期は原則150日です。臨時会は、どちらか一方の議院で総議員の4分の1以上が要求した場合、内閣が召集を決定しなければなりません。ここまでは正しいです。
最後の特別会だけが違います。「参議院議員の通常選挙の後」ではなく、「衆議院の解散による総選挙の後」に直しましょう。解散で衆議院議員が入れ替わり、新しい国会で首相を指名する場面、とつなげると覚えやすいですね。
訂正の要点:特別会は、衆議院の解散による総選挙の後に召集される。
T4 40日・30日・10日の順番
衆議院が解散された場合、解散から40日以内に総選挙を行い、選挙から30日以内に国会を召集する。
解散中に国に緊急の必要があるときは、内閣が参議院の緊急集会を求めることができ、その措置は次の国会開会後10日以内に衆議院の同意がなければ効力を失う。
T4の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
数字をばらばらに覚えるより、出来事の順に並べてみましょう。最初が衆議院の解散。その日から40日以内に総選挙をします。次に、その選挙の日から30日以内に国会を召集します。二つの数字は、数え始める日が違うのですね。
では、解散中に緊急の対応が必要になったらどうするのでしょう。内閣は参議院の緊急集会を求められます。ただし、その措置は一時的なものです。次の国会が開いてから10日以内に衆議院の同意がなければ、効力を失います。文はこの順序まで正しく説明しています。
T5 先に審議する義務と優越
法律案は国会議員も内閣も提出でき、通常、委員会の審査と本会議の議決を経て、他の議院でも審議される。
また、予算だけでなく、法律案と条約締結の承認も、必ず衆議院で先に審議しなければならない。
T5の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
まず、「案を出す人」と「法律にする機関」を分けます。法律案は国会議員も内閣も提出できます。委員会で詳しく調べ、本会議で議決し、もう一方の議院でも審議するという説明も正しいです。
誤りは、法律案や条約まで必ず衆議院から始めるとした部分です。衆議院で先に審議する義務があるのは「予算」です。「予算だけでなく、法律案と条約締結の承認も」を「予算は」に直せば、正しくなります。
衆議院の議決が優先される場合があることと、必ず衆議院から始めることは別の話です。「優先」と「順番」を混ぜないようにしましょう。
訂正の要点:衆議院で先に審議する義務があるのは予算。法律案と条約締結の承認には、この先議義務はない。
T6 調べられる側の許可は必要か
国政調査権は衆議院と参議院のそれぞれに認められ、証人の出頭・証言や記録の提出を求めることができる。
ただし、その行使には内閣の許可が必要であり、国政調査を理由に裁判へ不当に干渉することはできない。
T6の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
国政調査権は、国の政治が適切に行われているかを調べる権限です。衆議院にも参議院にもあり、証人に話を聞いたり、記録を出すよう求めたりできます。
ここで「内閣の許可が必要」という部分を考えましょう。調べられる側が、都合の悪い調査を自由に断れたら、十分なチェックができませんね。各議院の国政調査に、内閣の許可は必要ありません。ここを訂正します。
ただし、調査権があれば何でもできるわけでもありません。裁判の結論を変えさせるなど、裁判へ不当に干渉することはできない、という最後の部分は正しいです。
訂正の要点:国政調査権の行使に内閣の許可は必要ない。
国会の役割②|T7〜T12
ここでは、議員の保障と議決のルールを確かめます。数字が出たら、何を全体として数えるか、そして日数の後に何が起こるかに注目しましょう。
T7 免責の場所と責任の範囲
国会議員の不逮捕特権には、院外での現行犯や所属議院の許諾がある場合などの例外がある。
一方、免責特権によって、議員が国会の外で行うあらゆる発言も責任を問われず、議院内での懲罰も受けない。
T7の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
この問題は、誤りを二つ直す必要があります。まず、不逮捕特権は、会期中に議員の活動を不当に妨げないための保障です。院外の現行犯や所属議院の許諾などの例外があり、犯罪の責任そのものが消える制度ではありません。
次に免責特権です。対象は「議院で行った演説・討論・表決」で、それについて「院外で責任を問われない」という保障です。「国会の外で行うあらゆる発言も責任を問われない」は、対象を広げすぎています。
さらに、議院内での懲罰まで免れるわけではありません。したがって、後半は「議院内の演説・討論・表決について院外で責任を問われないが、議院内で懲罰を受けることはある」と直しましょう。
訂正の要点:議院内の演説・討論・表決について院外で責任を問われない。議院内の懲罰は免れない。
T8 集まる人数と賛成する人数
各議院が議事を開き議決するための定足数は、総議員の3分の1以上である。
通常の議事は、憲法に特別の定めがなければ出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長が決する。
過半数には、半分ちょうどは含まれない。
T8の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
定足数は、「会議を開き、議決するために、最低何人が出席しなければならないか」という条件です。基準は総議員の3分の1以上。まず、議院全体の人数から考えます。
通常の議決は、出席議員の過半数です。こちらは、その日に出席した人が基準になります。過半数は半分を超える人数なので、たとえば出席が100人なら51人です。50人ちょうどではありません。
文には、可否同数なら議長が決めるというルールも正しく書かれています。「総議員」と「出席議員」、そして「以上」と「過半数」を区別できれば、この文は正しいと判断できます。
T9 同じ3分の2でも分母が違う
法律案の衆議院での再可決、各議院の秘密会・議員の除名には、それぞれ出席議員の3分の2以上の賛成が必要である。
憲法改正の発議も同じ分母を用い、各議院の出席議員の3分の2以上が賛成すればよい。
T9の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
最初に、何のための3分の2なのかを確認しましょう。法律案を衆議院で再可決するとき、秘密会を開くとき、議員を除名するときは、出席議員の3分の2以上です。前半は正しいです。
しかし、憲法改正の発議は違います。衆議院でも参議院でも、それぞれ「総議員の3分の2以上」が必要です。欠席者がいても、基準をその日の出席者に小さくしてはいけません。
最後の「各議院の出席議員」を「各議院の総議員」に直します。二つの議院の賛成者を足して満たせばよい、という意味でもありません。それぞれの議院で条件を満たす必要があります。
訂正の要点:憲法改正の発議は、各議院の総議員の3分の2以上。
T10 参議院の否決で終わりではない
法律案について両議院が異なる議決をした場合、衆議院が出席議員の3分の2以上で再び可決すれば法律となる。
この場合、両院協議会を開くことは必須ではなく、参議院が否決しただけで直ちに衆議院の当初の議決が国会の議決となるわけではない。
T10の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
法律案について、参議院が反対した場合を想像しましょう。衆議院は、出席議員の3分の2以上で再び可決すれば、その法律案を法律にできます。これが再可決です。
大切なのは、衆議院の最初の可決が、そのまま自動的に国会全体の決定になるわけではないことです。もう一度、厳しい人数条件で可決する手続が必要なのですね。
法律案の場合、両院協議会は必須ではありません。予算などと同じ扱いにしないようにしましょう。この文は、人数、再可決、協議会の扱いがそろって正しいです。
T11 60日と30日の後に何が起こるか
参議院が、受け取った法律案を60日以内に議決しなければ、その法律案は再可決なしで成立する。
一方、予算や条約締結の承認を30日以内に議決しない場合は、衆議院が否決とみなし、出席議員の3分の2以上で再可決しなければならない。
なお、日数から国会休会中の期間を除く。
T11の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
ここは日数だけでなく、その後の手続が入れ替わっています。法律案は、参議院が受け取ってから60日以内に議決しなければ、衆議院は「参議院が否決したもの」とみなすことができます。60日で自動的に成立するわけではありません。そのうえで衆議院が再可決して成立させる場合には、出席議員の3分の2以上の賛成が必要です。なお、両院協議会で合意した案を両議院が可決して成立させる道もあるので、法律の成立方法が再可決だけという意味ではありません。
一方、予算や条約締結の承認は、参議院が受け取ってから30日以内に議決しなければ、衆議院の議決が国会の議決となります。この場面で3分の2の再可決は要りません。
訂正は二か所です。法律案の「再可決なしで成立」を「参議院が否決したものとみなすことができ、成立には再可決などの手続が必要」に。予算・条約の「再可決しなければならない」を「衆議院の議決が国会の議決となる」に直します。休会中を日数に含めない、という部分は正しいです。
訂正の要点:参議院が受領後60日以内に議決しない法律案は、衆議院が参議院の否決とみなせる。成立には再可決などの手続が必要。予算・条約は、参議院が受領後30日以内に議決しなければ衆議院の議決が国会の議決となる。いずれも休会中を除く。
T12 首相指名と憲法改正の違い
首相の指名で両院の議決が異なり、両院協議会でも一致しなければ、衆議院の議決が国会の議決となる。
また、衆議院の指名後、国会休会中を除いて10日以内に参議院が議決しない場合も同様である。
ただし、憲法改正の発議には衆議院の優越はない。
T12の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
首相の指名では、両議院の答えが違ったら、両院協議会で話し合います。それでも一致しなければ、衆議院の議決が国会の議決となります。
もう一つは、衆議院が指名した後、休会中を除いて10日以内に参議院が議決しない場合です。この場合も衆議院の議決が国会の議決となります。ここまでは正しいですね。
ただし、この優越を何にでも使えるわけではありません。憲法改正の発議は、両議院それぞれで総議員の3分の2以上が必要です。衆議院だけで参議院の反対を乗り越える仕組みはありません。最後まで含めて正しい文です。
内閣と行政①|T13〜T18
内閣の問題では、首相を選ぶこと、大臣を任命すること、内閣が責任を負うことを分けて考えましょう。
T13 任命する人と責任を負う相手
議院内閣制では、内閣は議会の信任を基礎とする。
日本では国会議員の中から国会が内閣総理大臣を指名し、天皇が任命するため、内閣は行政権の行使について天皇に対して連帯して責任を負う。
T13の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
首相は、国会が国会議員の中から指名し、天皇が任命します。この手順は正しいです。しかし、「天皇が任命するから、天皇に責任を負う」とつなげたところが違います。
内閣は、行政権を行使することについて「国会に対して」連帯して責任を負います。連帯して、とは、内閣全体で責任を負うということです。
訂正するのは「天皇に対して」を「国会に対して」です。議院内閣制は、内閣が議会の信任、つまり政治を任せてもよいという支持を基礎にする仕組みでしたね。任命の形式と、政治上の責任の相手を分けましょう。
訂正の要点:内閣は国会に対して連帯して責任を負う。
T14 大臣は全員が国会議員なのか
国務大臣は内閣総理大臣が任命し、任意に罷免できる。
国務大臣の過半数は国会議員から選ばなければならないが、全員が国会議員である必要はない。
内閣総理大臣と国務大臣は、いずれも文民でなければならない。
T14の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
まず、大臣を選ぶ人は首相です。首相は国務大臣を任命し、任意に罷免する、つまり職を辞めさせることができます。
次に、国会議員でなければならない人数です。「全員」ではなく「過半数」です。たとえば国務大臣が仮に10人なら、少なくとも6人を国会議員から選びます。残りには、国会議員ではない人を選ぶこともできます。
最後に、首相も国務大臣も文民でなければなりません。軍の力が政治を支配することを防ぐための条件です。文は、任免する人、過半数、文民という三つを正しく区別しています。
T15 不信任と問責は同じではない
衆議院で内閣不信任決議案が可決され、又は信任決議案が否決された場合、10日以内に衆議院が解散されなければ内閣は総辞職しなければならない。
参議院の問責決議にも、これと同じ憲法上の法的効果がある。
T15の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
最初に衆議院の不信任を見ましょう。不信任決議案が可決されたり、信任決議案が否決されたりした場合、10日以内に衆議院が解散されなければ、内閣は総辞職しなければなりません。ここは正しいです。
参議院の問責決議も、内閣などの責任を政治的に問うものです。ただし、同じように10日以内の解散か総辞職を義務づける、という憲法上の法的効果はありません。
最後を「参議院の問責決議には、これと同じ憲法上の法的効果はない」と直します。政治的な影響があることと、法律上必ず何かをしなければならないことを分けるのがポイントです。
訂正の要点:参議院の問責決議には、衆議院の不信任と同じ憲法上の法的効果はない。
T16 同じ首相でもいったん総辞職
内閣総理大臣が欠けたときや、衆議院総選挙後に初めて国会が召集されたときには、内閣は総辞職する。
同じ人物が再び首相に指名される場合もあり、総辞職後も新しい首相が任命されるまでは、旧内閣が職務を行う。
T16の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
首相が欠けたときは、内閣は総辞職します。また、衆議院総選挙後、初めて国会が召集されたときも総辞職します。選挙後の国会との関係を、新しく組み立てるためです。
ここで、同じ政党が多数を保ち、同じ人が首相になる場合を考えましょう。それでも、総辞職という手続自体は必要です。「同じ人だから省略できる」とはなりません。
では、次の首相が任命されるまで、行政が止まってしまうのでしょうか。そうならないよう、旧内閣が職務を行います。文はこのつなぎの仕組みまで正しく説明しています。
T17 解散を不信任の場合だけにしない
衆議院の解散は内閣が決定し、天皇が内閣の助言と承認に基づく国事行為として行う。
ただし、実務上も解散は衆議院で内閣不信任決議案が可決された場合に限って行われている。
T17の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
解散を決定するのは内閣で、天皇は内閣の助言と承認に基づく国事行為として行います。天皇が自分の政治判断で解散を決める、という意味ではありません。前半は正しいです。
誤りは「実務上も、不信任決議案が可決された場合に限る」という限定です。実際には、不信任決議案の可決を前提としない解散も行われています。
したがって、後半を「実務上、不信任決議案が可決された場合以外にも解散は行われている」と直します。「不信任の場合のルールがある」と「その場合しか解散できない」は、別の内容ですね。
訂正の要点:実務上、不信任決議案が可決された場合以外にも解散は行われている。
T18 作る・決める・承認するを分ける
内閣の意思は、全員一致を慣例とする閣議で決められる。
内閣は法律を執行し、外交関係を処理するほか、予算を作成して国会に提出し、条約を締結する。
予算は国会が議決し、条約締結は国会が事前又は事後に承認する。
T18の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
まず、内閣の意思を決める会議が閣議です。全員一致を慣例とします。「慣例」という言葉も含めて押さえましょう。
次に予算です。内閣が予算案を作成して国会に提出し、国会が議決します。たとえば国のお金の使い道を、内閣が案としてまとめ、国会が審議して決めるという分担です。
条約も、内閣が締結する一方、国会の承認が必要です。承認は事前の場合も事後の場合もあります。法律の執行や外交関係の処理も内閣の仕事です。文は、それぞれの担当を正しく説明しています。
内閣と行政②|T19〜T23
行政のチェックと外国の政治制度です。似た言葉が出てきても、どの機関が何をするのかを一つずつ見れば整理できます。
T19 二つの機関を混ぜない
人事院は内閣の所轄の下で国家公務員の人事行政の公正確保などを担い、給与等の勧告によって給与法を自動的に改正する。
会計検査院は国会に属して国の決算を検査し、内閣はその検査報告とともに決算を国会に提出する。
T19の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
この問題は誤りが二つあります。まず人事院です。国家公務員の人事行政を公正にする役割があり、給与などについて勧告します。勧告は、こう改めるのが適切だと提案することです。勧告だけで給与法が自動的に書き換わるわけではありません。
次に会計検査院です。国のお金が適切に使われたか、決算を検査します。「国会に属する」が誤りで、正しくは「内閣から独立した機関」です。国会や裁判所に属する機関ということでもありません。
訂正するなら、「勧告によって自動的に改正」を「勧告だけでは自動的に改正されない」に、「国会に属して」を「内閣から独立して」に直します。検査後、内閣が検査報告とともに決算を国会に提出する部分は正しいです。
訂正の要点:人事院勧告だけで給与法は自動的に改正されない。会計検査院は内閣から独立した機関。
T20 行政に任せても、白紙委任ではない
行政の専門化や役割の拡大に伴い、法律の委任に基づく委任立法や、行政が選べる判断の幅である行政裁量が重要になる。
ただし、政令は法律に反する内容を定められず、行政手続法などのルールや、国政調査・裁判・情報公開などによる統制を受ける。
T20の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
社会の仕組みが複雑になると、法律だけで細かな事項を全部決めるのは難しくなります。そこで、法律が一定の範囲を行政に任せる委任立法や、行政が状況に応じて判断できる行政裁量が重要になります。
ただし、「任せる」は「好きにしてよい」ではありません。政令で法律に反する内容を決めることはできませんし、判断にも法律上の限界があります。
行政手続法などのルールに加え、国会の調査、裁判所の判断、情報公開による確認もあります。専門的な仕事を任せる仕組みと、それを確かめる仕組みを両方説明しているので、この文は正しいです。
T21 拒否権と法案提出権
アメリカでは、議会と大統領は別々の選挙を基礎に選ばれ、大統領・閣僚は連邦議会議員を兼ねない。
大統領は法律案への拒否権だけでなく議会への法案提出権ももち、議会は政治的不信任だけで大統領を辞職させることはできない。
T21の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
アメリカの大統領と議会は、別々の選挙を基礎として選ばれます。大統領や閣僚が連邦議会議員を兼ねないこと、議会が政治的な不信任だけで大統領を辞職させられないことも正しいです。
間違いは、大統領に議会への法案提出権もあるとした部分です。大統領は法律案への拒否権をもちますが、自ら議会に法律案を提出する正式な権限はありません。政策を提案し、議員に法案化を働きかけることとは区別しましょう。
「拒否権だけでなく法案提出権ももつ」を「拒否権はもつが、自ら議会に法案を提出する権限はもたない」と直します。なお、重大な違法行為などを扱う弾劾の制度は、政治的不信任とは別です。
訂正の要点:大統領は拒否権をもつが、自ら議会に法案を提出する権限はもたない。
T22 機関の名前より関係を見る
アメリカでは大統領選挙人を介して大統領を選び、フランスでは大統領と首相を置く半大統領制を採る。
中国では中国共産党の指導の下、全国人民代表大会を最高国家権力機関と位置付けるため、日本やアメリカと同じ三権分立の制度である。
T22の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
アメリカは大統領選挙人を介して大統領を選びます。フランスは大統領と首相を置く半大統領制です。この二つの説明は正しいです。
中国で全国人民代表大会が最高国家権力機関と位置づけられることも正しいです。しかし、それを理由に「日本やアメリカと同じ三権分立」とすることはできません。中国は中国共産党の指導の下にあり、国家機関の関係が異なります。
最後を「日本やアメリカと同じ三権分立の制度ではない」と直します。議会や裁判所という名前の機関があるだけで、権力の分け方まで同じだと判断しないことが大切です。
訂正の要点:中国は日本やアメリカと同じ三権分立の制度ではない。
T23 二つの分類を別々に考える
連邦制は、連邦と州などの構成単位が憲法上の権限を分け合う仕組みであり、大統領制か議院内閣制かとは別の分類である。
そのため、アメリカは連邦制と大統領制を、ドイツは連邦制と議院内閣制を組み合わせている。
T23の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
議院内閣制か大統領制かは、「行政と議会がどのようにつながるか」という分類です。一方、連邦制は「国全体と州などの地域で、憲法上の権限をどう分けるか」という分類です。比べている相手が違うのですね。
たとえば、学校の「授業の進め方」と「校舎の分け方」を別々に考えるように、二つの基準は組み合わせられます。連邦制だから大統領制に決まるわけではありません。
アメリカは連邦制と大統領制、ドイツは連邦制と議院内閣制です。文は、この組合せを正しく説明しています。
司法の独立と違憲審査①|T24〜T30
裁判所の独立、裁判官の任命、裁判の種類を確かめます。文の一部が正しくても、残りが違えば全体の答えは×になります。
T24 独立しても、好き勝手ではない
司法の独立には、裁判所への国会・内閣の不当な介入を防ぎ、裁判官が独立して職権を行うことが含まれる。
裁判官は良心に従い、憲法及び法律にのみ拘束され、行政機関から懲戒されないが、個人の好みだけで判断してよいわけではない。
T24の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
司法の独立とは、政治の都合で裁判の結論を変えさせないための仕組みです。裁判所への不当な介入を防ぐことと、裁判官一人ひとりが独立して判断することの両方を含みます。
裁判官は良心に従い、憲法及び法律にのみ拘束されます。ここでいう良心は、「この人は何となく嫌いだから有罪にする」といった個人の好みではありません。法に照らして公正に判断する姿勢です。
行政機関が裁判官を懲戒することもできません。文は、独立の保障と、判断の基準を両方正しく説明しています。
T25 専門の裁判所と特別裁判所
行政機関は終審として裁判を行えず、行政処分の取消しなどを求める裁判は通常の裁判所が扱う。
一方、家庭裁判所は家事事件・少年事件を専門に扱うため、憲法が設置を禁止する特別裁判所に当たる。
T25の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
最初の二つは正しいです。行政機関が最終的な裁判をすることはできず、行政処分の取消しなどを求める裁判も、通常の裁判所が扱います。
誤りは、家庭裁判所を禁止された特別裁判所としたところです。家庭裁判所は、家事事件や少年事件などを専門に扱いますが、通常の裁判所の体系に入っている下級裁判所です。
「憲法が設置を禁止する特別裁判所に当たる」を「下級裁判所の一つであり、禁止された特別裁判所ではない」に直します。扱う仕事が専門的であることと、通常の裁判所の体系から独立していることは別なのですね。
訂正の要点:家庭裁判所は下級裁判所の一つであり、禁止された特別裁判所ではない。
T26 誰が、どんな場面で違憲審査をするか
違憲審査とは、法律・命令・規則・処分が憲法に適合するかを判断することである。
日本では最高裁判所だけがこの権限をもち、具体的な事件がなくても、法律の合憲性を一般的に審査することを基本とする。
T26の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
違憲審査は、法律や命令、規則、処分が憲法に合っているかを確かめることです。この説明は正しいです。その後に、二つの誤りがあります。
一つ目は「最高裁判所だけ」です。下級裁判所も違憲審査を行えます。最高裁判所は、最後に判断する終審裁判所だということです。
二つ目は「具体的事件がなくても一般的に審査するのが基本」です。日本では、具体的な事件の解決に必要な範囲で審査するのが基本です。たとえば、ある処分をめぐる裁判で、その根拠となる法律が憲法に反しないかが問題になる、という流れです。
したがって、「下級裁判所も行え、具体的事件の解決に必要な範囲で審査するのが基本」と直しましょう。
訂正の要点:下級裁判所も違憲審査を行える。具体的事件の解決に必要な範囲で審査するのが基本。
T27 指名と任命の担当を整理する
最高裁判所長官は国会が指名して天皇が任命し、その他の最高裁判所裁判官は内閣が任命する。
下級裁判所の裁判官は、内閣が指名した名簿に基づいて最高裁判所が任命する。
T27の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
指名は「この人にする」と候補を決めること、任命はその職に就けることです。二つの担当を、順番に確かめましょう。
最高裁判所長官は、内閣が指名し、天皇が任命します。問題文の「国会が指名」を「内閣が指名」に直します。国会が指名する首相と混ざりやすいところですね。その他の最高裁判所裁判官を内閣が任命する部分は正しいです。
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所が指名した名簿に基づいて、内閣が任命します。問題文は、この二つが逆です。「最高裁判所が名簿を指名、内閣が任命」と、矢印の順番で覚えましょう。
訂正の要点:最高裁長官は内閣が指名し天皇が任命。下級裁判所裁判官は最高裁が指名した名簿により内閣が任命。
T28 国民審査の対象と時期
最高裁判所裁判官は、任命後初の衆議院総選挙と、その審査後10年を経過した後に初めて行われる衆議院総選挙で国民審査を受ける。
下級裁判所の裁判官は国民審査の対象ではなく、任期は10年で再任できる。
T28の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
国民審査を受けるのは、最高裁判所の裁判官です。長官も含まれます。下級裁判所の裁判官まで対象になるわけではありません。
時期は、まず任命後初めての衆議院総選挙。その後は、前の審査から10年を経過した後、初めて行われる衆議院総選挙です。10年たったその日に、国民審査だけを単独で行うという意味ではありません。
下級裁判所の裁判官は任期10年で、再任できます。こちらの10年は任期の話です。似た数字ですが、国民審査の時期と分ければ、文全体が正しいと分かります。
T29 辞めさせる判断と刑罰の判断
裁判官の職務上の義務への著しい違反などについて罷免を判断する弾劾裁判所は、両議院の議員で構成され、国会に設けられる。
弾劾は刑罰を科す刑事裁判とは別であり、心身の故障を理由とする罷免は裁判による。
T29の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
罷免は、職を辞めさせることです。裁判官に職務上の義務への著しい違反などがあった場合、国会に設けられる弾劾裁判所が罷免を判断します。構成するのは両議院の議員です。
ただし、弾劾裁判所が犯罪の刑罰を決めるわけではありません。職を続けさせてよいかを判断することと、犯罪について刑を科すことは別です。
また、心身の故障によって職務をとれない場合の罷免は、裁判によります。内閣が判決に不満だから自由に辞めさせる、という仕組みではありません。文はそれぞれを正しく分けています。
T30 起訴は裁判の入口
私人間の権利義務をめぐる争いを扱うのが民事裁判で、犯罪の成否や刑罰を判断するのが刑事裁判である。
起訴とは、刑事事件を裁判所に提起することであり、起訴された時点で被告人の有罪は確定する。
T30の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
民事裁判は、たとえば貸したお金を返してもらうよう求めるなど、私人間の権利義務をめぐる争いを扱います。刑事裁判は、犯罪が成立するか、どのような刑を科すかを判断します。ここまでは正しいです。
起訴は、刑事事件について裁判所に裁判を求めることです。まだ裁判の入口なので、起訴された時点で有罪が確定するわけではありません。
最後を「起訴された時点で有罪は確定せず、有罪が確定するまでは無罪と推定される」に直します。「裁判を始めること」と「有罪という結論が確定すること」の間には、裁判で確かめる過程があるのですね。
訂正の要点:起訴だけで有罪は確定しない。有罪が確定するまでは無罪と推定される。
司法の独立と違憲審査②|T31〜T36
裁判の順番と国民参加を確認します。人数だけでなく、その人たちがどの段階で何を判断するかに注目しましょう。
T31 控訴と上告の順番
三審制は、同じ事件について原則として段階を変えて3回の裁判を受けられる仕組みで、自動的に3回裁判を行うものではない。
第一審の判決への不服申立てを上告、第二審の判決への不服申立てを控訴という。
T31の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
三審制は、原則として段階を変えて3回の裁判を受けられる仕組みです。全員が自動的に3回受ける、という意味ではありません。最初の説明は正しいです。
後半の名前が逆になっています。第一審の判決への不服申立てが「控訴」、第二審の判決への不服申立てが「上告」です。
「第一審→控訴→第二審→上告→第三審」と順番に読むと整理できます。二つとも入れ替えて訂正しましょう。判決が確定した後に特別な理由でやり直す「再審」は、また別の手続です。
訂正の要点:第一審の判決への不服申立ては控訴、第二審の判決への不服申立ては上告。
T32 裁判所の経路は一種類ではない
地方裁判所から始まる事件の基本的な経路は、地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所である。
一方、簡易裁判所から始まる民事事件の基本的な経路は、簡易裁判所→地方裁判所→高等裁判所である。
事件の種類などによる例外があるため、すべて同じ経路とは限らない。
T32の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
まず、地方裁判所から始まる事件の基本例は、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所の順です。
次に、簡易裁判所から始まる民事事件の基本例を見ましょう。こちらは、簡易裁判所、地方裁判所、高等裁判所です。「第三審なら必ず最高裁判所」と決めつけると、ここを間違えてしまいます。
文には、事件の種類などによる例外があることも書かれています。二つの基本例と、その限界を正しく説明しているので、全体が正しいです。経路を考えるときは、出発点と事件の種類をセットで確認しましょう。
T33 対審の非公開と判決の公開
有罪判決の確定後、新たな明白な証拠の発見などの法定の理由により裁判をやり直す特別な手続を再審という。
裁判の対審と判決は原則公開だが、対審が憲法上の要件により非公開となれば、判決も非公開にできる。
T33の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
再審は、有罪判決が確定した後、新たな明白な証拠が見つかるなど、法律で定められた理由によって裁判をやり直す特別な手続です。前半は正しいです。
後半は、裁判の公開の話です。対審とは、当事者の主張などを聞いて審理する場面です。憲法上の要件を満たす場合に非公開となることがありますが、それで判決まで非公開にできるわけではありません。
「判決も非公開にできる」を「判決は公開される」に直します。判決を公開して、どのような結論になったのかを社会が確かめられるようにする、という点を押さえましょう。
訂正の要点:対審が非公開となる場合でも、判決は公開される。
T34 刑の名称と処遇の変化
2025年6月1日、懲役・禁錮に代わって拘禁刑が導入された。
拘禁刑では、個々の受刑者の特性に応じた処遇によって改善更生と社会復帰を図るため、古い資料にある刑の名称と制度変更後の名称を区別する必要がある。
T34の解答・考え方を開く
正解:○:全体が正しい
まず日付を確認します。2025年6月1日に、懲役・禁錮に代わる拘禁刑が導入されました。文の名称と日付は正しいです。
次に、名前が変わっただけなのかを考えましょう。拘禁刑では、受刑者一人ひとりの特性に応じた処遇によって、改善更生や社会復帰を図ります。立ち直りのために必要な働きかけを、その人に合わせて考えるということです。
昔の資料に懲役や禁錮と書かれていても、いつの制度を説明しているのかを見ます。文は、変更後の名称と目的を正しく説明しています。
T35 人数と内訳、そして守秘義務
裁判員制度は、地方裁判所で行う対象となる重大な刑事事件の第一審で、原則として裁判官3人と裁判員6人が有罪・無罪や刑を判断する制度である。
裁判員6人だけが賛成しても有罪にでき、評議の秘密に関する守秘義務は任務終了とともに消滅する。
T35の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
裁判員制度は、対象となる重大な刑事事件の第一審で、原則として裁判官3人と裁判員6人が判断する制度です。民事事件やすべての裁判に参加するわけではありません。最初の説明は正しいです。
誤りは二つあります。有罪とするには、全体の過半数に加え、裁判官と裁判員の双方の賛成を含むことが必要です。9人中6人でも、裁判員だけの賛成では有罪にできません。
もう一つは、評議の秘密に関する守秘義務です。仕事が終わった後も続きます。「裁判員6人だけでも有罪にできる」を「双方の賛成を含む過半数が必要」に、「任務終了で消滅する」を「任務終了後も続く」に直します。
訂正の要点:有罪には双方の賛成を含む過半数が必要。守秘義務は任務終了後も続く。
T36 最初の8人で、すぐ起訴ではない
検察審査会は、選挙権を有する国民から選ばれる11人で、検察官の不起訴処分の当否を審査する。
第一段階で8人以上が起訴相当と議決すれば直ちに強制起訴となる。
第二段階で8人以上の起訴議決があった場合に起訴するのは、裁判所が指定した弁護士である。
T36の解答・考え方を開く
正解:×:誤りを含む
検察審査会は、国民から選ばれた11人で、検察官が不起訴にした判断が適切だったかを審査します。ここでいう不起訴は、その事件を裁判にかけないという判断です。
第一段階で8人以上が起訴相当としたら、まず検察官が再検討します。この時点で直ちに強制起訴となるわけではありません。問題文は、この再検討を飛ばしているのですね。
再び不起訴となるなど法定の場合に第二段階へ進み、8人以上の起訴議決があれば、裁判所が指定した弁護士が起訴します。最後の担当者は正しいです。「直ちに強制起訴」を「検察官が再検討する」に直しましょう。
訂正の要点:第一段階の起訴相当議決の後、検察官が再検討する。直ちに強制起訴ではない。
資料1:国会の人数と手続|D1・D2
| 項目 | 衆議院 | 参議院 |
|---|---|---|
| 総議員数 | 300人 | 180人 |
| 出席議員数 | 241人 | 150人 |
| 出席者の内訳:A党 | 131人 | 60人 |
| 出席者の内訳:B党 | 30人 | 10人 |
| 出席者の内訳:C党 | 80人 | 80人 |
人数は作問用の仮定です。D2の例外を除き、A党・B党の出席者全員が賛成し、C党の出席者全員が反対します。棄権はなく、出席人数は変わりません。
D1 再可決と改憲で分母を変える
資料の条件において、正しい記述をすべて含む組合せを、①~④から一つ選ぼう。
ア 両議院とも、議事を開き議決するための定足数を満たしている。
イ 参議院が否決した法律案を衆議院で再び採決する場合、A党・B党の賛成で再可決に必要な人数を満たす。
ウ 憲法改正の発議について、A党・B党の賛成者数は、衆議院で必要な人数を満たしている。
D1の解答・考え方を開く
正解:① アとイ
まずアの定足数です。基準は総議員の3分の1以上なので、衆議院は300÷3=100人、参議院は180÷3=60人です。実際の出席は241人と150人。どちらも足りているので、アは正しいです。
次にイの再可決です。基準は出席議員の3分の2以上なので、241×2÷3=160と3分の2人となります。人は小数に分けられません。「以上」を満たす最小の整数は161人です。A党131人とB党30人を足すと161人。ちょうど満たすので、イも正しいです。
最後にウの憲法改正の発議です。ここでは分母を総議員300人に戻します。300×2÷3=200人が必要です。161人では39人足りないので、ウは誤りです。
正しいのはアとイ。したがって①です。同じ3分の2でも、「誰を全体として数えるか」で必要人数が変わることが分かりましたね。
| 場面 | 基準 | 必要人数 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 定足数・衆議院 | 総議員300人の1/3以上 | 100人 | 出席241人で満たす |
| 定足数・参議院 | 総議員180人の1/3以上 | 60人 | 出席150人で満たす |
| 法律案の再可決 | 出席241人の2/3以上 | 161人 | 賛成161人で満たす |
| 憲法改正の発議・衆議院 | 総議員300人の2/3以上 | 200人 | 賛成161人では足りない |
D2 一人が反対に回るとどうなるか
次の条件で行われた法律案Xの再採決の結果と、予算Yの扱いの組合せとして、最も適当なものを①~④から一つ選ぼう。
法律案X:衆議院で可決され、参議院に届いてから60日を超えたが、参議院は議決しなかった。
衆議院は否決とみなし、再採決した。
このときだけA党の出席者1人が反対に回り、出席人数は変わらなかった。
予算Y:衆議院で可決され、参議院に届いてから30日を超えたが、参議院は議決しなかった。
いずれの期間にも国会の休会はなく、その他の事情は考えない。
D2の解答・考え方を開く
正解:② X:再可決できなかった / Y:衆議院の議決が国会の議決となる
まず、法律案Xの出席人数を確認します。一人が欠席したのではなく、反対に回っただけです。したがって出席は241人のまま。再可決に必要な人数も、D1と同じ161人です。
賛成は、A党が131−1=130人、B党が30人なので、合計160人です。必要な161人より一人少ないため、再可決できません。60日を超えたことは、否決とみなせるという意味であって、自動成立の意味ではありません。
次に予算Yです。休会なしで30日を超えても参議院が議決しなかったので、衆議院の議決が国会の議決となります。予算では、この場面で3分の2の再可決は必要ありません。
「Xは再可決できなかった」「Yは衆議院の議決が国会の議決となる」の組合せなので、②です。人数と手続を別々に確かめてから、選択肢を選びましょう。
資料2:法案の本数と成立率|D3・D4
| 年 | 提出者 | 提出本数 | 成立本数 |
|---|---|---|---|
| 第1年 | 内閣 | 80 | 72 |
| 第1年 | 国会議員 | 40 | 8 |
| 第2年 | 内閣 | 60 | 54 |
| 第2年 | 国会議員 | 90 | 27 |
すべて架空の数値です。成立本数は、その年に提出された法案のうち、同じ年に成立した本数です。成立率=成立本数÷提出本数×100。
D3 本数と割合を分けて計算する
資料1から正しく読み取れる記述をすべて含む組合せを、①~④から一つ選ぼう。
ア 内閣提出法案の成立率は両年とも議員提出法案より高いが、内閣提出法案の成立本数は第1年より第2年の方が少ない。
イ 第2年には議員提出法案の提出本数が内閣提出法案を上回っているので、成立率も議員提出法案の方が高い。
ウ 議員提出法案の成立本数は、第2年には第1年の3倍を超えている。
一方、内閣提出法案の成立率は両年で等しい。
D3の解答・考え方を開く
正解:④ アとウ
まず成立率を四つとも計算しましょう。成立率は、提出されたうち何割が成立したかです。内閣は第1年が72÷80×100=90%、第2年が54÷60×100=90%です。国会議員は第1年が8÷40×100=20%、第2年が27÷90×100=30%です。
アを見ます。内閣の成立率は両年とも議員より高く、成立本数は72本から54本へ減っています。割合が同じでも、本数は減り得るのですね。アは正しいです。
イでは、第2年の提出本数90本が60本を上回ることから、成立率まで高いと判断しています。しかし、実際の率は議員30%、内閣90%です。提出が多いことと、成立する割合が高いことは別なので、イは誤りです。
ウの「3倍を超える」を確認します。第1年の8本の3倍は24本。第2年は27本なので、確かに超えています。内閣の成立率が両年90%で等しいことも正しいです。
正しいのはアとウなので④です。この表だけから、なぜ成立率に差があるかまで断定することはできません。計算で分かる事実と、その理由の推測を分けましょう。
| 提出者・年 | 計算 | 成立率 |
|---|---|---|
| 内閣・第1年 | 72÷80×100 | 90% |
| 内閣・第2年 | 54÷60×100 | 90% |
| 議員・第1年 | 8÷40×100 | 20% |
| 議員・第2年 | 27÷90×100 | 30% |
D4 案を出す人と法律にする機関
次の会話文中の[ア]・[イ]に入る記述の組合せとして、最も適当なものを①~④から一つ選ぼう。
C:資料1では、内閣提出法案も成立しているね。
「国会は国の唯一の立法機関」という説明と矛盾しないのかな。
D:[ア]ことを区別すれば矛盾しないよ。
行政の専門化に対応して、法律の委任に基づく委任立法も行われるね。
C:それなら、行政の活動を誰が、どう確かめるかも大切だね。
D:そうだね。
[イ]。
委任立法や行政裁量があるからといって、行政の権限が無制限になるわけではない。
[ア] a 法案は内閣も提出できるが、法律を制定するのは国会である
b 法案の提出者が制定も行い、内閣提出法案は閣議で法律となる
[イ] c 国政調査や裁判所による行政事件の審理などが、行政の統制に関わる
d 各議院が行政を調査するには、事前に内閣の許可を受ける必要がある
D4の解答・考え方を開く
正解:③ ア-a・イ-c
会話の最初の疑問は、「内閣が法案を出せるなら、国会だけが立法機関という説明と矛盾しないか」ですね。ここでは、案を提出することと、法律として成立させることを分けます。内閣も案を出せますが、法律を制定するのは国会です。だからアはaです。
身近に置き換えると、行事の案を出した人が、その案を勝手に決定できるとは限らない、という違いです。内閣が提出した法案も、閣議だけで法律になるわけではありません。
次にイです。行政に細かい判断を任せても、国会の調査や裁判所による行政事件の審理などでチェックされます。各議院の調査に内閣の許可は要らないので、cが正しいです。
アがa、イがcですから③を選びます。「提出」「制定」「統制」という三つの仕事を分けると、会話が自然につながります。
資料3:政治制度を比べる|D5・D6
| 比較項目 | 制度P | 制度Q |
|---|---|---|
| 行政と議会の関係 | 内閣が議会の信任を基礎とする | 議会と大統領が別々の選挙を基礎とする |
| 相互の抑制の例 | 議会の不信任と、議会の解散 | 大統領の法律案への拒否権と、議会の再可決 |
| 議会への法案提出 | 内閣からも提出できる | 大統領自身に法案提出権はない |
資料と、これまで学んだ制度の基本的な区別に基づいて考えましょう。
D5 信任を基礎にするか、別々に選ぶか
資料1とテキストに照らして最も適当な記述を、①~④から一つ選ぼう。
D5の解答・考え方を開く
正解:①制度Qでは、大統領と議会の多数派の立場が異なっても、議会の政治的不信任だけで大統領を辞職させる仕組みはなく、大統領にも議会の解散権はない。
最初に資料の特徴から制度を見分けます。内閣が議会の信任を基礎にするPは、日本型の議院内閣制です。議会と大統領が別々の選挙を基礎にするQは、アメリカ型の大統領制です。
①では、Qの大統領を議会が政治的不信任だけで辞めさせる仕組みはなく、大統領も議会を解散できないとあります。これは正しいです。意見が違ったら相手を解散させる、という関係ではないのですね。
②は二か所が違います。日本の国務大臣は全員ではなく過半数が国会議員であればよく、任免するのは議会ではなく首相です。③も、拒否権を法案提出権と取り違えています。大統領・閣僚は連邦議会議員を兼ねません。
④の参議院の問責決議にも、衆議院の不信任と同じ法的効果はありません。したがって正解は①です。なお、政治的不信任で辞めさせられないことは、弾劾の制度がないという意味ではありません。
資料2:架空の国の制度変更案
案A:議会の信任を基礎とする行政の仕組みを改め、議会と行政の長を別々の選挙を基礎として選ぶ。議会が政治的不信任だけで行政の長を辞職させる仕組みと、行政の長による議会の解散は設けない。
案B:中央と地域の権限の分け方を改め、連邦と州が憲法上の権限を分け合う仕組みを導入する。行政の選出方法や、議会の信任との関係は変更しない。
D6 何と何の関係を変える案か
資料2を読んで生徒が作った次のメモ中の[ア]・[イ]に入る記述の組合せとして、最も適当なものを①~④から一つ選ぼう。
案Aは[ア]を変更する案で、案Bは中央と地域の権限の分け方を変更する案である。
この二つは別の分類軸なので、案Bを採用しても必ず大統領制に変更する必要はない。
実際に、[イ]。
[ア] a 行政と議会の関係
b 中央と地域の権限の分け方
[イ] c ドイツは連邦制と議院内閣制を組み合わせている
d アメリカの連邦制は、議会による政治的不信任で大統領を辞職させる制度である
D6の解答・考え方を開く
正解:③ ア-a・イ-c
案Aは、議会と行政の長を別々に選び、不信任や解散の仕組みを置かないという案です。変えようとしているのは、行政と議会の関係ですね。したがってアはaです。
案Bは、中央と州で憲法上の権限を分ける案です。しかも資料には、行政の選び方や議会の信任との関係は変更しないと書かれています。連邦制を導入しても、議院内閣制を残すことはできます。
その実例がドイツです。ドイツは連邦制と議院内閣制を組み合わせているので、イはcです。dは連邦制の説明ではなく、しかもアメリカで議会が政治的不信任により大統領を辞職させるという内容も誤りです。
アがa、イがcなので③です。制度名を見て連想するだけでなく、「この案は何と何の関係を変えるのか」と読むと、取り違えを防げます。
資料4:国民の司法参加|D7・D8
| 事件 | 有罪に賛成した裁判官 | 有罪に賛成した裁判員 |
|---|---|---|
| 甲 | 0人 | 6人 |
| 乙 | 1人 | 4人 |
| 丙 | 3人 | 1人 |
| 丁 | 2人 | 3人 |
いずれも裁判官3人と裁判員6人の計9人が判断し、表の賛成者以外は有罪とすることに反対したとします。この問題では、有罪とするための賛成者数の条件だけを考えます。
D7 合計と双方の参加を二段階で確認
資料1のうち、有罪とするための賛成者の条件を満たす事件の組合せを、①~④から一つ選ぼう。
D7の解答・考え方を開く
正解:② 乙と丁
最初に条件を二つに分けます。裁判官3人と裁判員6人の合計は9人。その過半数は5人以上です。さらに、賛成者の中に裁判官と裁判員の両方が含まれなければなりません。
甲は0+6=6人です。人数は足りますが、賛成する裁判官がいないので条件を満たしません。乙は1+4=5人。過半数で、両方の賛成もあるので満たします。
丙は3+1=4人です。両方が賛成していますが、人数が5人に届かないので満たしません。丁は2+3=5人で、両方の賛成があるので満たします。
したがって乙と丁、②です。「人数だけ」でも「内訳だけ」でも足りません。二つの条件を両方満たすか、順に確認するのが解き方です。
| 事件 | 合計5人以上 | 双方が賛成 | 条件を満たすか |
|---|---|---|---|
| 甲 | 6人:○ | 裁判官0人:× | 満たさない |
| 乙 | 5人:○ | 1人と4人:○ | 満たす |
| 丙 | 4人:× | 3人と1人:○ | 満たさない |
| 丁 | 5人:○ | 2人と3人:○ | 満たす |
| 段階 | 経過 |
|---|---|
| 1 | 検察官が不起訴処分とした。 |
| 2 | 検察審査会で、11人中8人が起訴相当と議決した。 |
| 3 | 検察官が再検討したが、再び不起訴とした。 |
| 4 | 法定の手続を経て第二段階の審査に進み、11人中9人が起訴議決に賛成した。 |
| 5 | [ア]が起訴し、その後、裁判所で裁判が行われる。 |
架空の経過です。第二段階に進むための法定の条件を満たしているものとします。
D8 裁判にかける判断と有罪の判断
資料2の[ア]と、生徒が作った次のメモ中の[イ]に入る記述の組合せとして、最も適当なものを①~④から一つ選べ。
第一段階で8人が起訴相当とした後にも、検察官が再検討する段階がある。
今回は第二段階で9人が起訴議決に賛成したので、次の起訴手続へ進む。
ただし、[イ]。
[ア] a 再検討を行った検察官
b 裁判所が指定した弁護士
[イ] c 検察審査会は有罪・無罪を決めず、起訴だけで有罪が確定するわけではない
d 検察審査会の起訴議決で有罪が確定するため、裁判所は刑の重さだけを判断する
D8の解答・考え方を開く
正解:④ ア-b・イ-c
資料の順番を追いましょう。最初は検察官の不起訴。次に、11人中8人が起訴相当と議決しました。ここで、すぐ裁判になるのではなく、検察官がもう一度検討しています。
それでも不起訴となり、法定の手続を経た第二段階で、今度は9人が起訴議決に賛成しました。必要な8人以上を満たしているので、裁判所が指定した弁護士が起訴します。アはbです。
次に、その起訴は何を意味するかを考えます。起訴は裁判を求めることであり、有罪を決めることではありません。検察審査会が有罪・無罪を判断するわけではなく、起訴だけで有罪が確定することもありません。イはcです。
したがって、アがb、イがcの④です。「再検討する」「起訴する」「裁判で判断する」という三つの段階を飛ばさずにつなげられましたね。
最後に、考え方を整理しよう
正誤問題は、知っている単語があるだけで○にせず、最後まで確かめることが大切でした。一つの文に二つの誤りがあれば、両方を直して初めて正しい説明になります。
計算問題では、先に条件を言葉で確認します。総議員か出席議員か。本数か割合か。合計だけでよいか、内訳も必要か。この確認ができると、計算そのものは一つずつ進められます。
間違いは、覚え直す場所を教えてくれます。解説を読んで納得できたら、もう一度自分で選んでみましょう。理由まで説明できれば、次に少し違う問題が出ても対応しやすくなります。
